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カテゴリ:蒼蘭訣 ~エターナル・ラブ~ 全36話
苍兰诀 Love Between Fairy and Devil 第35話 脱獄した容昊(ヨウコウ)は師匠を連れて雲夢澤(ウンムタク)に逃れた。 祟気(スイキ)を吸い込んだ赤地女子(セキチジョシ)はようやく我に返ったが、自分の周りに転がる骸に気づいて呆然となる。 「阿昊…何をしたの?!」 すると赤地女子は衝撃のあまり倒れてしまう。 その夜、容昊は師匠を山荘で休ませ、凶神・太歳(タイサイ)と接触した。 「祟気に侵された者は一時、残虐になる だが師父のように苦しみ、祟気を求め続ける者はいなかったぞ!」 「3万年も元神が祟気で保たれていたゆえ、すっかり祟気に染まってしまったのだ もはや生き長らえるためには祟気を吸い続けねばならぬ やがて元神は祟気に乗っ取られ、霊力も失い、記憶も知識もなく、殺戮を知るのみとなる」 容昊は太歳にまんまと騙されたと憤ったが、今さら後戻りはできない。 「私があの者の身体を乗っ取り、元神同士が融合すれば苦しみは終わる 融合しても変わらず赤地女子のままだ、お前との過去も覚えているぞ…もはや他に道はない」 翌朝、赤地女子は容昊に殺して欲しいと頼んだ。 すると容昊は決意を固め、師匠と中庭に出る。 「太歳がここへ来ます…太歳と師父の元神を融合し、身体を支配させて師父の苦しみを終わらせます」 驚いた赤地女子は自害しようとしたが、容昊に剣を吹き飛ばされてしまう。 「阿昊、俗心が強過ぎて太歳に惑わされ、死ぬ運命も分からなくなったの?」 「私は人間でした、俗心は消せぬし、生死のことなど分かりません」 生まれながら神仙である師匠は三界の民だけを想い、到底、自分の心など分からないのだろう。 しかし赤地女子は自分にも俗心があったと明かした。 …通りで簫を吹きながら何とか食いつないできた幼い容昊 あれは雲夢澤の冬の寒さが一段と厳しい年だった 赤地女子は酒楼の2階で3日間も少年の簫の音に聞き惚れていたが、飲まず食わずだった少年はついに事切れてしまう 赤地女子は少年を連れて司命(シメイ)を訪ね、生き返らせる方法を聞いた 司命は例え上仙でも運命を変えれば災厄が伴うと警告したが、赤地女子はいかなる代償も受け入れるという 『そのために決して元に戻れなくなったとしても後悔しない?』 赤地女子はうっすら笑みを浮かべた すると司命は少年の運命簿を招喚、命格(メイカク)樹に戻してくれる… 容昊は師匠が自分のために俗心を抱いたと知り、涙を流した。 そして師匠を強く抱きしめ、望み通り短剣で背中を刺し、殺してしまう。 太歳は当てが外れ、容昊が初めから自分を騙すつもりだったと気づき激怒した。 すると容昊は自分の元神を犠牲にして太歳を道連れにしようとする。 「あと一歩で私は永遠に師父と共にいられる…2度と離れぬ…」 その時、息山(ショクサン)では息芸(ショクウン)が太歳の激しい怒りを感じ取っていた。 長珩(チャンハン)は赤地女子と容昊を一緒に埋葬し、息芸と東方青蒼(ドンファンチンツァン)と共に弔った。 果敢にも太歳に挑んだ容昊だったが失敗、息芸は恐らく太歳が現れ、暴れ回ることになると警告する。 「長珩、なすべきことをしなければ…」 息芸がひと足先に墓を離れると、長珩はふと昨夜の話を思い出した。 …長珩は懐かしそうに霊玉を眺めた するとさすがは息芸神女、これが″奇幻流蛍石(キカンリュウケイセキ)″だと知っている 『かつて私は空の星をひとつ取って灯籠にしたいと思った その時、ある友が言ったの、北溟(ホクメイ)の地にある霊玉は天の星のようだと…』 それは長珩と小蘭花(シャオランファ)しか知らない思い出だった 『やはり君は小蘭花なのか?!』 『私は息山神女・息芸であり、小蘭花でもある…実はどちらの記憶もあるの』 つまり小蘭花は東方青蒼ではなく自分を選んでくれたのか。 長珩は喜んだが、はかない夢に終わった。 『かつて東君は息蘭族と盟約を結び、この血脈同士の婚姻のみが霊力を高められる こうして代々、三界を守って来たの、私たちの婚約もそのためよ』 小蘭花にとって長珩との婚姻は使命だった 太歳が封印を破り三界に危機が迫る今、至高の霊力を得なくては太歳を滅ぼすことができない 『あなたの思いがどうであれ、これしか方法がないの』 『で、その後は?!初代の息山神女は太歳を倒したが死んだ…』 長珩はようやく小蘭花が記憶を失ったふりをして東方青蒼を突き放した理由に気づき、呆然となった 『君は死ぬのか…』 『その通りよ』 『では私は?婚姻しても死に行く君を見送るしかない、私の気持ちは?!』 『…ごめんなさい』 『謝罪など求めていない、分かるだろう?!』 しかし小蘭花は全てを捨てても民を守ると訴え、長珩だけが自分に手を貸せると訴える 深く傷ついた長珩は断ったが、小蘭花は協力するよう迫った… ( ゚ェ゚)いやなぜ今ばらす?長珩が気の毒だわ 長珩は小蘭花を追いかけた。 まだ墓の前にいた東方青蒼は2人が何やら話している姿に気づいたが、内容はまでは分からない。 「太歳に身体を乗っ取られ耐えられる者は少ない…赤地女子亡き今、次に狙うのは東方青蒼だ …自らを犠牲にしても奴を守るのか?」 「私は民を愛し、1人を愛する」 明日は息山神女と長珩の婚礼の日、諦めがついた東方青蒼は息芸に別れを切り出した。 「ただ息山を離れる前に頼みがあります…」 東方青蒼は息芸を連れて相思橋にやって来た。 かつてこの場所で小蘭花と愛を誓うはずだった東方青蒼、その手には同心錠がある。 「ぶしつけな頼みだが、私と鍵をかけてくれないか?」 「小蘭花はいない、一緒にはいられないわ」 「違う、小蘭花がいなくても私は永遠に忘れない、思い出を守り続ければ一緒にいるのと同じだ」 東方青蒼は今生でも来世でもその先も自分には小蘭花しかいないと訴える。 「小蘭花だけが私を愛してくれた、共に困難を乗り越え、私の情を復活させた たとえ世界を敵に回しても私についてきてくれた なのに私は棘のように小蘭花を傷つけるだけのろくでなしだった そして小蘭花は愚か者だ、ろくでなしと知りながら私を許し、抱きしめてくれた 今の私なら小蘭花を守り、もうつらい思いはさせない…そう伝えたいが叶わぬ」 「もうやめて」 小蘭花は居たたまれなくなり、思わず東方青蒼の言葉を遮った。 東方青蒼は息芸を怒らせたと思い、やはり自分独りで来るべきだったと後悔する。 「似ていてもあなたは小蘭花じゃない…」 東方青蒼は息芸を司命殿に送り届け、別れを告げた。 「蒼鹽海(ソウエンカイ)に戻る、君たちの婚姻を祝福するよ、ではこれで…」 「待って」 東方青蒼の難しい顔を見た息芸はつい手を伸ばし、東方青蒼の口角を上げて笑顔を作ってしまう。 驚いた東方青蒼は思わず息芸の腕をつかんだが、息芸は逃げるように部屋に戻った。 ( ゚ェ゚)だからなぜ今そんなことする?最後まで隠し通せって やはり息芸は小蘭花なのか。 東方青蒼はふと司命星君から小蘭花の運命簿をもらったことを思い出した。 『息蘭族は小蘭花を種に封印し、私に託した でも私は人像(ヒトガタ)を取るのを助けただけ、運命は動かせなかった』 そこで運命簿を出して良く見てみると、驚いたことに新たな運命が現れ始めている。 しかしその運命はすぐ途切れた。 「(はっ!)太歳を道連れに死ぬ気なのか?!」 東方青蒼は今になってやっと司命星君に言われた言葉の意味が分かった。 『最後の最後であの子の運命を変えられるのはあなたよ、東方青蒼…』 婚礼当日の朝、東方青蒼は小蘭花の部屋の前に立っていた。 しかし小蘭花が気配に気づくと姿を消してしまう。 小蘭花は中庭に出て東方青蒼を探したが、誰もいなかった。 すでに蒼鹽海へ帰ったのだろうか。 その時、ふいに東方青蒼が現れ、小蘭花に口づけした。 拒むこともできず身を任せる小蘭花、すると東方青蒼は何も言わずに消えてしまう。 結黎(ジエリー)は息山神女の身支度を終え、一緒に司命殿を出た。 同じ頃、觴闕(ショウケツ)も月尊の支度を済ませ、固い握手を交わし月尊を送り出す。 そしていよいよ忘川のほとりで息山神女と長珩の婚儀が始まった。 ちょうど同じ頃、東方青蒼は独り太歳がいる息山の洞窟へ向かう。 ( ゚ェ゚)そして…この巨大なオブジェを装着する必要があるのか? つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.08.05 22:21:03
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