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カテゴリ:星漢燦爛(セイカンサンラン) 全56話
月升沧海 Love Like the Galaxy (第14話) 第41話「約束の地」 皇太子妃孫(スン)氏は庶民に降格、北宮送りとなった。 もはや孫氏を気に掛ける者などいなかったが、程少商(チォンシャオシャン)だけが最後の別れにやって来る。 「…約束を守って成婚した太子殿下と支え合いながら縁を大事にするべきでした 殿下が曲泠君(チューリンジュン)を忘れられなかったのではない、あなたが思い出させたのよ? 自分の不幸を人のせいにしないで」 しかし孫氏は非を認めず、反省すべきことなどないと頑なだった。 少商は話しても無駄だとあきらめ、帰ることにする。 「あなたを縛り付けているのは宮中ではない、あなたの心よ?」 こうして冷宮の門は堅く閉じられた。 少商はようやく皇太子と曲泠君が結ばれると思ったが、驚いたことに曲泠君は梁無忌(リャンウージー)に再嫁すると知る。 確かに梁州牧(シュウボク)はこれまで身を挺して曲泠君を庇っていた。 凌不疑(リンブーイー)は磊落(ライラク)な梁州牧のこと、成婚後は曲泠君の子を我が子とみなしてくれるはずだという。 すると少商はしみじみ子晟(ズーション)と巡り会えたことに感謝した。 「自分は不運だと思っていたけれど、これまでの運をためてあなたに出会えたのね… 私は運が良く、見る目もある、ふふ」 「見る目があるのは私だろう?」 そんなある日、寿春(ジュシュン)に有事との急報が舞い込んだ。 文(ウェン)帝は早速、寿春平定のため策を練ることにした。 集まったのは凌不疑と将軍の万松柏(ワンソンバイ)、崔祐(ツイヨウ)の3人、どちらにしても寿春は挙兵に適さない土地のため、孤立させれば落とすのは早い。 そうと知ってか、今回は朝臣や世家が適齢の子息たちを軍に入れて鍛えたいと嘆願する上奏が絶えなかった。 とは言えひ弱な子息たちを率いるのは難儀だろう。 すると成婚を控えた凌不疑が出征したいと名乗りを上げ、皇帝の逆鱗に触れた。 少商は戦術会議に手作りの甘酒を差し入れるつもりだった。 しかし凌不疑が皇帝を怒らせてしまい、届けられそうにない。 不疑が心配で心ここに在らずの少商、そこで皇后は皇帝を説得する知恵を授けた。 皇帝は将軍2人を追い返し、子晟の首根っ子を捕まえて部屋の隅に立たせた。 「この青二才め!寿春などお前が案じるまでもない!」 「彭坤(ポンクン)も孤城の陥落を招いた一因、戾(レイ)帝と結託していたはずです」 不疑は彭坤に直接、確かめたかったが、皇帝は都でおとなしく成婚を待つよう言い聞かせた。 「万が一があれば成婚できないぞ?!」 少商は甘酒の差し入れを口実に崇徳(スウトク)宮にやってきた。 実は皇后から皇帝に伝言があるという。 「将軍は戦場へ馳せるべし、都に隠れ、怠惰であれば、子晟の徳は位負けすると指摘される…」 「本当に皇后が言ったのか?」 皇后は皇太子の一件から身体が衰える一方だった。 皇帝もそんな中での諫言を無視できなかったが、やはり子晟を無事に成婚させなくては気が休まらない。 しかし少商は子を思うなら背後から支持すべきだと諌め、親だけでなく妻も夫を支持する必要があると訴えた。 皇帝は仕方なく子晟の出征を認めた。 ただし彭坤を捕らえてすぐ都に戻り、必ず予定通り婚儀を上げろと命じて2人を解放する。 すると少商は凌不疑の顔を両手で挟み、まじまじと見つめた。 「じっくりと眺めて覚えておかなくちゃ 阿父が戻った時は目の半分と歯が白いだけで、残りは真っ黒だったから 身を粉にして戦わないで、墨と成婚するのは嫌だもの」 「それほど心配ならなぜ陛下に出征を勧めたんだ?」 「舅父の死と孤城の全滅はあなたの心痛であり、わだかまりでもある ご不調の皇后の世話がなければ私もあなたと敵を倒しに行っていた …子晟、あなたが彭坤を捕らえる姿を見たかった、敵討ちの痛快さを私も味わいたいもの」 「はお、その言葉だけで十分だ」 「早く戻ってきてね、待ってるわ、あなたが娶ってくれるのを」 「最も盛大な婚礼を挙げるよ、待っていてくれ」 ある夜、少商は大きな荷物を背負い、黒衣で変装して凌軍の大営に潜入した。 しかし難なく将軍の天幕に到着、もしこれが敵の偵察だったらあっさり手中に落ちているだろう。 少商はあきれたが、凌不疑は巡回中の兵士たちが気づかないと思うのかと笑った。 実は兵士たちはわざと将軍の新婦を見逃し、それとなく将軍の天幕まで誘導してくれたという。 「つまり私を笑って眺めていたの?…チッ!クソリンブーイー(ボソ」 すると不疑は出発前に贈り物があると言った。 凌不疑は少商を連れて櫓に登り、草原を指差した。 実は皇帝に凱旋後、何が欲しいか問われ、軍営の横の土地と答えたという。 不疑は少商が自分で屋敷を建てるのが夢だと覚えていた。 「そこが私たちの住む屋敷になる、全て自由にしていい、今後、あの地が私たちの家だ 求めていただろう?正真正銘の自由な地を…そこなら誰にも責められず、誰からも足蹴にされない あの地で子を産み育て、老いていく、連れ添いながら…」 少商は感激のあまり声が出なかった。 誤解した不疑はまた勝手に決めたことを謝ったが、少商は喜んで口づけする。 「気に入ったわ…」 少商は自分も三叔父夫妻のように花や月を愛でながら、子晟と共白髪となり、生死を共にできると思うと万感迫る思いだった。 「約束して、凱旋したら私たちの新しい家を建てると…」 「はお、約束するよ」 「私が危険を冒して来た理由が分かる?…贈り物を持ってきたの」 凌不疑の出征の日、城門では若い未婚夫婦が別れを惜しんでいた。 不疑は少商がくれた鎧をまとっていたが、少商の痛々しい指に気づいて驚く。 「今後は2度と裁縫しなくていい」 「鴛鴦が気に入らないの?」 「鴛鴦?てっきり鶏の羽かと…」 「鴛鴦よ!命を顧みない時、この羽を見れば都で待っている私を思い出すでしょう?」 背後で控えていた護衛・梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)は愕然となった。 まさか若公主の甲冑に鴛鴦の羽が施されていたとは…。 ( ̄▽ ̄;)<出征したくなくなった…敵軍に笑われる 「気に入らなければ羽は外していいけれど、この帷子(カタビラ)は脱がないでね 銅の糸と麻で織ってあるから、軽いけれど刀傷を防げる…兎の刺繍も入れたのよ?」 「あれは兎?…鼠だとばかり」 「兎よ…私の干支だから…」 「そうだ、兎だ、君が兎と言えば兎だ」 「…もともと兎なんですけど(ボソッ」 そんな仲睦まじい若夫婦の様子を城楼から皇帝たちが眺めていた。 皇帝と越(ユエ)妃は2人にかつての自分たちの姿を重ねて懐かしんだが、そこに皇后の入る隙はない。 一方、少商の父も支援部隊として銅牛(ドウギュウ)県へ銅を運ぶ任務を命じられていた。 程始(チォンシー)は娘が自分には襪子(シトウズ)すら縫ってくれなかったとぼやいたが、蕭元漪(シャオユエンイー)はあの恥ずかしい鎧を着たいのかと笑う。 「そうだな、鶏の羽なんぞまとったらさらす顔もないw」 凌不疑は必ず生きて戻ると誓い、馬にまたがった。 すると少商に小さな袋を投げ渡す。 中には凌府の印章が入っていた。 「世の情人が結ばれるのは最も美しいことですね」 皇后は若い夫婦の姿に感銘を受けたが、ふと寂しさを覚えた。 …だけど私はそんな想いを味わえなかった… つづく ( ;∀;) イイハナシダナー と思っていたのに、羽のせいで台無しよwwwww お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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