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カテゴリ:安楽伝 全39話
安乐传 The Legend Of Anle 第1話 …嘉昌(カショウ)6年、冬 謀反の疑いをかけられた靖安(セイアン)侯・帝永寧(ディエイネイ)は青南(セイナン)山の麓にて8万の大軍を葬り、裁きを恐れて自刎(ジフン)した これに激怒した嘉昌帝・韓仲遠(ハンチュウエン)は帝家の九族皆殺しを命じ、その夜、靖安侯府は血の海と化す 帝永寧の娘・梓元(ヅユアン)は逃げ惑いながら、一族が無惨に殺されるのを目の当たりにしていた すると回廊でついに忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)に剣を突きつけられてしまう その時、皇太子・韓燁(ハンイェ)が駆けつけた 『やめよ!』 太祖は遺詔で″帝家の娘を皇太子妃とする″と残していた 韓燁はこれを盾に皇帝の勅命を手に入れ、かろうじて梓元の命だけは救うことに成功する しかし梓元は瑇(タイ)山の永寧(エイネイ)寺に幽閉となり、山中で生涯を終えるよう命じられた 『梓元、それでも太子妃の座は君のものだ』 『…これでもまだ太子妃になれると思うの?』 韓燁は屋敷を埋め尽くす亡骸を前に返す言葉もない すると梓元は雪の舞う中、真紅の傘を差して屋敷をあとにした… 時は流れ、韓燁は立派な青年になった。 今でも変わらない梓元への想い。 韓燁は折に触れ瑇山へ贈り物を届けさせていたが、梓元は妃の位を固辞したまま、この10年、礼状の一つも返してくれない。 それでも韓燁はまた采薇(サイビ)軒で梓元への贈り物を選んでいた。 すると隣の店で大捕物が繰り広げられる。 相変わらず罪人に容赦ないのは刑部尚書・洛銘西(ルォミンシー)だった。 洛銘西はかつて梓元の侍衛だった。 「いくら物を贈っても人の心には及びませぬ」 「お前だけは私の純情を承知だろう?」 実は韓燁は東騫(トウケン)から来襲した海賊の討伐に名乗りを上げていた。 戦功を立てれば皇帝に梓元の下山を願い出ることができるという。 「洛銘西…」 「洛大人(ダーレン)と」 「はお、洛大人、私の戻りが遅かったらこの贈り物を…」 「殿下、贈り物の手配なら応じかねます、では」 韓燁とは旧知の仲でありながら、洛銘西はどこか他人行儀だった。 ここは靖南(セイナン)。 豊かな自然に囲まれた安楽寨(アンラクサイ)に鮮やかな真紅の衣をまとった女侠がいた。 すると伝書鳩が知らせを運んでくる。 (ˇ⊖ˇ)<東風起こる…ピヨ (←違うけどw) 「東風が吹けば客人が訪れる…」 海賊退治のため、お忍びで靖南に入った韓燁。 思いがけず急な雨に降られたが、その時、腕輪の鈴を鳴らしながら石段を降りてくる美しい江湖の娘を見かけた。 彼女の赤い傘を見た韓燁は最後に見た梓元の姿が重なり、必ず海賊を追い払って迎えに行くと心に誓う。 すると調査のため向かった埠頭で、偶然にも雨宿りしている赤い傘の娘と出くわした。 娘は唐突に韓燁の帷帽(イボウ)の中に顔を突っ込み、驚いた韓燁は後ろに下がってしまう。 その時、追っ手の声がした。 娘は海賊の一味に追われていると話し、半ば強引に韓燁を連れて逃げ出した。 やがて雨も上がって快晴となった頃、2人は桟橋に到着する。 「姑娘(グーニャン)!もう大丈夫だ、追って来ない」 「甘く見ないで、高貴な方は初めての経験でしょうね」 その時、また追っ手の声が聞こえた。 娘は思わず韓燁を突き飛ばし、抱き合ったまま舟に倒れ込んでやり過ごす。 追っ手は寨主に頼まれた役目を演じ、走り去って行った。 すると娘は縄を解いて舟を出してしまう。 こうして訳が分からぬまま、やけに馴れ馴れしい娘と一緒に海原をさまようことになった韓燁。 「急用があり靖南に来た、早く戻らねば…その…姑娘、どうか私に指示を」 「凪(ナ)いでる…果たして私の条件に応じるかしら」 すると娘はいきなり外衣を脱ぐよう迫った。 「帆の代わりにするの、嫌なら私が脱ぐわ」 「うわっ!姑娘!慎みを持て!」 しかしこれも娘の時間稼ぎ、その時、前方から東騫国の海賊戦隊が現れた。 「奴らは凶暴で悪辣だ、姑娘、一刻も早くここを離れよう」 「公子、立ち泳ぎはできる?」 娘は韓燁を道連れにして海に落ちた。 娘と韓燁は転覆した舟の中に隠れた。 動揺を隠せない韓燁、すると間近に迫った海賊船がひっくり返った舟を調べ始める。 「姑娘、私が敵を引き付ける、逃げろ」 「逃げるなら一緒よ、公子、もし生き延びられたらあなたに嫁ぐわ」 韓燁はこの状況でも戯言とは恐れ入ったが、その時、海賊が前方から現れた安楽寨の船隊に気づいて舟を諦めた。 「公子、約束を忘れないで、生き延びたらあなたに嫁ぐ」 すると娘は舟から飛び出し、安楽寨が降ろした縄に捕まって軽々と舞い上がった。 娘は華麗な身のこなしで安楽寨の船に飛び乗った。 「私は安楽寨寨主・任安楽(レンアンルー)、靖(セイ)国の領土を侵す輩を必ず…必ず…何だっけ? あ、必ず誅(チュウ)せん!」 安楽が敵将を一矢で仕留めると、安楽寨の配下が一斉に敵船に乗り込み攻撃した。 一方、韓燁もようやく船に上がり海賊討伐に参戦、しかし安楽をかばって肩を負傷してしまう。 「アンルーの男を傷つけるとは…」 激怒した安楽は剣を投げ、韓燁を傷つけた海賊を一撃で仕留めた。 安楽寨は海賊を殲滅、船を全て捕獲した。 安楽は嫌がる韓燁の胸を強引にはだけて手当していたが、今頃になってようやく東南水軍がやって来る。 すると皇太子に気づいた吉利(キツリ)が大きく手を振りながら叫んだ。 「太子殿下ぁぁぁぁぁ~!」 韓燁は図らずも素性が知られ、身分を明かすしかない。 「私は太子・韓燁だ」 「じゃあ命の恩人である私は太子妃になれる?」 驚いた韓燁は安楽に感謝しながらも、太子妃は許嫁だと教えた。 「他に望みは?」 「私が欲しいのはあなただけよ」 安楽は韓燁の腰かざりを引き抜き、これが結納品だと迫った。 「太子殿下の命を救い、一夜を共にした、殿下の結納品は玉の如意、私の嫁荷は3万の水軍 これで決まりね」 「安楽、私がいつ婚姻に応じた?!」 「事実はどうあれ証人がいるわ」 その時、甲板にいた配下たちが寨主の縁談を祝って声を上げた。 東南水軍はようやく追いついたが、安楽は既成事実を作るため、そのまま韓燁を乗せて帰ってしまう。 (^ꇴ^)ノ″<明日、安楽寨まで迎えにきて〜! 韓燁は無事に帰京、父皇に事情を説明して安楽からの文を渡した。 確かに一夜を過ごしたが、あくまで治療のためだったという。 安楽は玉の如意と共に、安楽寨3万の水軍の帰順と引き換えに皇太子妃の位が欲しいと嘆願書を託していた。 皇帝は失笑したが、どちらにしても皇太子として身を固める時期だという。 しかし韓燁は祖父の遺詔に従い、梓元を娶ると譲らない。 そこでこの機に乗じて梓元を赦免して欲しいと嘆願したが、皇帝は認めてくれなかった。 洛銘西は韓燁に呼ばれて寝殿を訪ねた。 すると皇太子はまた梓元の絵を描いている。 しかし成長した梓元の顔はまだ描き込めずにいた。 「梓元の話はお前にしかできない、10年が経ち、梓元の顔を忘れそうな己が怖い」 「背が伸びて記憶とは違う容姿でも…目は変わりません」 洛銘西が梓元の目だけ描き込むと、韓燁は確かにこの目だと納得した。 春の狩りには皇太子と引き合わせるべく名家の令嬢が招待された。 令嬢たちは皇太子に想い人がいると知っていたが、それでも女海賊に負けるのは癪に触る。 そんな中、韓燁の侍従で弟分の温朔(ウェンショウ)が女海賊の登場を楽しみに待っていた。 実は任安楽の美醜が今日の最大の賭けになっているという。 その時、どこからともなく美しい琴の音が響き渡った。 温朔は琴を奏でる安楽の侍女・苑琴(エンキン)に一瞬で心を奪われたが、どこの才女なのか分からない。 すると真紅の衣をまとった安楽が颯爽と馬を駆けて現れた。 安楽は同時に2本の矢を放って鷹を仕留めると、皇太子に献上する。 「太子殿下、また会ったわね」 温朔は豪快で美しい娘の登場に目を丸くした。 「姑娘…君は…」 「私はレンアンルー、未来の太子妃よ」 つづく ( ๑≧ꇴ≦)ランランルー始まった! 管理人の適当なルビは無視して、好きな呼び名でどうぞw お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.03.13 11:00:25
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