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カテゴリ:覆流年〜復讐の王妃と絶えざる愛〜全30話
覆流年 Lost Track of Time 第30話 穆澤(ムーヅー)は陸安然(ルーアンラン)の心を手に入れられず、せめて身体だけでも我が物にしようと寝台に押し倒した。 しかし安然の空虚な目を見ると、なぜか無性に後ろめたさに苛まれる。 「輿入れの日もそんな心のない目をしていたな」 「失うものが何もないから…あなたに嫁ぐ時、子が産めなくなる薬を飲んだの」 穆澤はなぜ安然がそこまで自分を嫌うのか分からず、激情に駆られて首を絞めた。 「私が口にした脅し文句も睦言も全て本心だったのに…そなたは嘘ばかりだ!」 すると安然は卒倒してしまう。 一方、穆川(ムーチュアン)は二兄を刺激しないよう営造坊(エイゾウボウ)に戻って軍に指示を出していた。 そこへ衫越(サンエツ)が駆けつけ、うさぎの燭台を届ける。 「小姐が万が一の時にこれだけは守るようにと…」 安然は大晦日に皇宮へ向かう前、衫越に穆川への伝言を託していた。 「″決して自分を曲げないで、私は死んでも信念を貫く、同じ過ちを繰り返さないように″と…」 すると衫越は安然を探しに行くと言って帰って行った。 安然はまだ意識が戻らなかった。 穆澤は自分の運命を受け入れる覚悟を決めたが、まだ1つだけ自分で選べる事があると気づく。 …この生涯にいかに幕を下ろすかだ …安然、ゆっくり眠れ、そなたが目覚める頃には、全て終わっている 穆澤は安然を独り残して外へ出た。 南星(ナンセイ)はそろそろ移動した方が良いと進言したが、穆澤は逆賊の名を背負って隠れて生きるより、潔く散りたいという。 そこでこれまで戦場で生死を共にしてきた兄弟たちを解放することにした。 「我が命は今日で尽きる、そなたたちには家族がいるだろう、ここで去るが良い」 しかし南星は最後まで慶(ケイ)王のそばにいたいと嘆願、慶王軍も一斉にひざまずき、忠誠を誓った。 ( ๑≧ꇴ≦)ノ<将士們! ←言いたかっただけw 安然の決意を知った穆川は矢も盾もたまらず、自ら軍を率いて二兄の捜索へ向かった。 やがて山中で灯りがついた小屋を発見、穆川は寝台に取り残された安然を見つける。 「安然?!安然!大丈夫か?」 「穆川…どうしてここに?」 「町へ向かう蹄の音が聞こえた」 「まずいわ…穆澤は皇宮を攻める気よ…」 驚いた穆川は慌てて引き返したが、すでに慶王軍は全滅、穆澤は胸に矢を受けていた。 将軍は謀反を起こした慶王に止めを刺すべく弓を引いた。 その時、穆川が駆けつけ、二兄をかばう。 すると皇帝の馬車が現れた。 「穆澤…言い残したいことはあるか?」 「あなたは万民の上に立つ皇帝、一度も父親だったことはない! 私に与えられるのは評価だけ、愛情などなかった! この命は父皇より賜ったもの、ここに謹んでお返しする!」 皇帝は穆澤の言葉に胸が痛み、穆川に任せることにした。 「行かせてやれ」 穆澤は穆川に支えられながら、母が投げ捨てられた井戸までたどり着いた。 「娘(ニャン)…許してください、娘を救えなかった… 九弟、頼みがある…私が死んだら娘の墓の隣に埋葬してくれ」 すると穆澤は九弟に短剣を渡し、一思いに殺すよう促した。 穆川は二兄を刺すことなどできなかったが、その時、穆澤は最後の力を振り絞って起き上がり、自ら胸を突き刺してしまう。 「二哥ァァァァァァァァァァァァァァ!うわあぁぁぁぁぁ!」 子供のように泣きじゃくる穆川、その時、ばったり倒れた穆澤の目にちょうど結末を見届けにきた安然の姿が映っていた。 朝臣たちは謀反人である穆澤をさらし首にすべきと上奏した。 すると皇帝はならば大晦日の騒ぎの時、即座に慶王にひれ伏した者たちも同罪かと牽制する。 驚いた朝臣たちはそれ以上、追及できず、皇帝は罪を犯しても自分の息子であると恩情を与えた。 皇帝は斉王を皇太子に決めた。 冬青(ドンチン)はこれで安然も陸家も安泰だと言ったが、安然は素直に喜べない。 「それは穆川が望んだことかしら?」 すると安然は慶王府に別れを告げるため、独りで出かけて行った。 安然はゆっくり王府を眺めながら書斎へ入った。 その時、ふいに穆澤の声が聞こえる。 …陸安然、激しくも有意義な人生だった、お別れだ… 安然は窓際に立つ穆澤の姿を見たような気がしたが、すぐに消えてしまう。 一方、穆川は約束通り二兄を墨(ボク)氏の墓の隣に埋葬した。 しかし墓石には何も彫られていない。 「二哥、どうか安らかに…また会いに来るよ」 穆澤は安然に離縁状と文を残していた。 …あの夜、昏睡中だったそなたがうわ言である物語を聞かせてくれた その残酷な悪夢が私を憎む理由なら、夢の中の私になってそなたに謝りたい だがそれほどまでに深く愛された私を羨ましく思う… すると安然は文を燃やしてしまう。 「この世は荘周(ソウシュウ)が見る胡蝶(コチョウ)の夢か、胡蝶が見る荘周の夢か…」 瀚京(カンケイ)は雨になった。 皇太子に封じられた穆川はお忍びで街に出かけ、安然と茶屋で落ち合う。 「蘇城へ帰るわ」 「決めたんだな」 「瀚京は私にとって悪夢の都…ここにいたら悲劇を思い出してしまう 人生をやり直すには離れるしかない」 「分かるよ、その傷を癒すには時間が必要だ」 「あなたも苦しんだ、でも勇敢だったわ」 「安然…君の幸せを祈っている、どんな日もどんな時も笑っていて欲しい」 「過去に縛られず、未来を恐れず、今を大事に生きるわ」 「会いに来てくれ、待っている」 安然は穆川と別れの杯を交わすと、未練を断ち切るように先に席を立った。 「行くわ」 「元気で」 『この世は荘周が見る胡蝶の夢か、胡蝶が見る荘周の夢か』 …穆川、昨日の夜、夢を見たわ そこは陽光に照らされ、まばゆく輝く世界 あなたが微笑み、私も笑っていた… 終わり ※胡蝶の夢:″荘子斉物論″より、蝶となって百年も遊んだという夢を見た荘周、目覚めてみると自分が夢で蝶となったのか,今の自分が蝶の見ている夢なのか分からなくなったという故事、この世の生のはかない例え ( ๑≧ꇴ≦)BS放送も終了しました!やっぱり面白かった! 実は番外編があり、5年後に再会する話だったと思います(まだ見られるかどうか不明) 管理人は最後が安易なまとめに走らない点も胡蝶の夢でまとめてくるあたりも、パラレルワールド全開でお気に入りです 皆さんはいかがだったでしょうか お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.09.11 22:25:33
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