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カテゴリ:安楽伝 全39話
安乐传 The Legend Of Anle 第11話 任安楽(レンアンルー)を連れて太祖が眠る蒼(ソウ)山へやって来た韓燁(ハンイェ)。 太祖の墓は眼下に靖国が広がり、墓石の″韓子安(ハンシアン)″の文字は帝家当主の筆だという。 しかし皇帝にとって太祖の遺詔は皇家の恥となる愚行に過ぎなかった。 実は太祖の遺詔により本来は帝(ディ)家と韓家の血族以外、皇太后さえ山に立ち入ることはできないという。 「どうして私は山に入れるの?」 「祖父に君を会わせたかった、予感がするのだ、君は私と隆盛の世を築くと… 知己としてそばにいてくれ」 「知己になれというならなってもいい、でも太子妃の座を諦めたわけじゃないから」 「夫婦にならずとも共に歩めばいい」 「嫁荷まで捨てたのよ?どちらにしてもあなたが誰を選ぶか見届けさせてもらう」 その時、突然、黒装束の刺客が現れた。 簡宋(カンソウ)は江南の帰りに皇太子が蒼山に立ち寄ると想定していた。 「しかし任大人がご一緒だとは、誤算でした」 「あら、私も騙されたのよ?」 簡宋は自分を誘き出すため、皇太子が自らおとりになったと分かった。 忠義(チュウギ)侯の暗衛の首領にして稀代の剣の達人である簡宋。 韓燁は7年も自分に仕えてくれた簡宋を信頼して禁衛軍を任せていた。 「だが江南の視察のせいで忠義侯は焦り過ぎたな… あの夜、刺客は警告だけで誰も殺さなかった、お前の指示だったのだな」 韓燁は内偵の存在に気づいていたが、結局、鍾礼文(ショウレイブン)の手紙が決定的な証拠となった。 「忠義侯にもご恩があり、やむを得なかったのです」 簡宋は皇太子に剣を投げ渡し、正々堂々と戦うことにした。 2人は激しい攻防を繰り広げたが、やがて韓燁が簡宋の胸に剣を突き刺す。 しかし韓燁はどうしても7年の盟友にとどめを刺すことはできなかった。 すると簡宋は自ら剣に身体を突き刺し、崖に身を投げてしまう。 安楽は韓燁が簡宋の命を救うため、侍衛を伴わずに来たと分かった。 「殿下、いつか私が刃を向けたらどうするの?」 「″疑わしきは用いず、用いるに疑わず″…君を信じ続けたい」 琳琅(リンロウ)は刑部にいる主に密かに接触した。 「新任の知府は江南へ無事に到着、治水工事も始まりました、鍾礼文はどうしますか?」 「お前に任せていれば安心だ…鍾礼文には嫌がらせしてやろう」 「…任大人のためですね?」 「奴は安楽を陥れようとした、礼をしなくては」 洛銘西(ルォミンシー)の心にいるのは安楽だけ、琳琅はそれでも主への忠誠が揺らぐことはなかった。 古雲年(コウンネン)は任安楽に江南の拠点を潰され、簡宋まで死んだと知った。 今や権勢も弱まり安楽への憎しみを募らせる古雲年、しかし情勢に逆らうこともできず、あえて任安楽への褒美を請うことにする。 一方、安楽と韓燁は無事に城門へ到着した。 「蒼山で太子殿下の見事な一手を見たわ、私を駒にしようと思いついたのはいつ?」 「なぜ私の計略に気づいた?」 「殿下が安楽に何でも話すからよ」 「…君はずっと私の計略に関わっている、これは偶然か?」 「偶然というより縁でしょうね」 韓燁は安楽の本当の目的が皇太子妃ではないと認めさせたかったが、安楽は茶化して先に行ってしまう。 「…任安楽、天高く舞う君の羽を私の手で折りたくないのだ」 任安楽が屋敷に戻った。 苑琴(エンキン)と苑書(エンショ)は嬉しそうに任安楽の名声が都中に知れ渡り、皇太子への求婚以上の騒ぎになっていると報告する。 実は何者かが視察の手柄の9割方が安楽のお陰だと噂を流していた。 安楽は洛銘西の仕業だと分かったが、皇太子も関わっていると気づく。 しかしどこか気が晴れない様子だった。 「小姐(シャオジェ)?太子殿下を本気で好きになったのですか?ふふ」 「苑琴?…大(タイ)山でのことを覚えている?」 「もちろんです、小姐に命を救われました」 「あの辛い過去を決して忘れてはだめ…二度とそんな話をしないで」 「分かりました」 すると部屋に飾ってある鈴鐺が鳴った。 「洛銘西だわ」 安楽と洛銘西は帝家の霊廟で合流した。 江南での成果で今や朝廷の半分が任大人の支持に回り、これを機に洛銘西は江南にも駒を送り込めたという。 一方、安楽は江南で銀貨の持ち主が鍾(ショウ)という男だと突き止めていた。 行方までは分からなかったが鍾礼文の屋敷で8万の将兵の名簿を発見、印が付いた生存者十数人の中に鍾海(ショウカイ)という名前があったという。 洛銘西は自分が引き続き調べると決め、安楽が皇太子妃選びに出るまでもないと言った。 しかし安楽は俗っぽい噂を広めてこそ黒幕が警戒を解いて馬脚をあらわすという。 「真相に近づくためよ」 「…情に流されて復讐を忘れぬか?」 「確かに韓燁は度量も才覚も太子にふさわしい でも我ら8万の将士と九族の仇敵は韓家…彼は韓燁よ」 その頃、韓燁は皇帝に謁見、任安楽の功労を上奏していた。 実はすでに刑部尚書と古雲年が任安楽への褒美を請う奏状を出してきたという。 そこで皇帝は忠義侯を牽制するためにも任安楽を妃にするよう命じ、皇太子の答えを遮った。 「話は今夜の宴で直接、安楽へ伝えるがよい」 その夜、皇太子と任安楽を労い宴が開かれた。 しかし韓燁は縁談の件で安楽と目を合わせられない。 すると洛銘西が現れ、安楽と働きたいと奏上したことを伝えた。 安楽は応じられないと断ったが、韓燁は内心、穏やかでない。 そこへ古雲年がやって来た。 「任大人の手柄には私も貢献しているはずだが?」 「そうだったわ~古斉善(コセイゼン)も鍾礼文も踏み台になってくれた 感謝の一献を捧げなくちゃ~グビッ! あ、それからお妃の座を譲ってくれたご息女にも~グビッ!プハーッ!」 古雲年は安楽の挑発的な態度に呆然、憤慨して帰ってしまう。 韓燁は安楽を屋敷まで送った。 「着いたぞ?酔ったふりはよせ」 そこで韓燁は帝梓元との約束を守らねばならないと伝え、今後は礼節を守るよう釘を刺した。 o(`ω´ )o<うわぁぁぁぁん!知らない! 安楽が怒ったふりをして馬車を降りると、韓燁は困惑したまま刑部に洛銘西を訪ねた。 韓燁にとって10年前の話をできる唯一の相手が洛銘西だった。 それにしても一匹狼の洛銘西がなぜ安楽とだけ親しくするのか分からない。 「言ったはずだ?私に譲ってくれと…」 「つまり刑部に欲しいと?」 「私″も″独り身だからな」 洛銘西はわざと韓燁を挑発した。 「…いつの頃からお前の心が読めぬ」 「帝梓元に固執しつつ、私が任安楽に近づくのを恐れるのか?」 しかし韓燁は何も答えなかった。 左丞相(サジョウショウ)・姜瑜(キョウユ)は忠義侯府を訪ねた。 古雲年は帝梓元が下山すれば自分たちへの復讐を企むはずだと警戒したが、姜瑜はたかが子娘だという。 「何より陛下が許しても太后が決して認めないでしょう」 姜瑜は静観するようなだめて忠義侯府を後にした。 「…忠義侯の娘を妃に推すのはやめさせよ、いいか?一挙にではなく徐々にだ」 「はい」 皇太后は帝梓元の下山に難色を示し、都へ戻るなら″帝承恩(ディチォンエン)″と改名するよう命じた。 これに韓燁は憤怒、すぐ参内して抗議しようと決めたが、温朔(ウェンショウ)は事を荒立てれば梓元が苦しい立場に追い込まれると止める。 「…独りにしてくれ」 一方、安寧(アンニン)公主は靖安(セイアン)侯府で酒を飲んでいた。 まさか瑇(タイ)山の永寧(エイネイ)寺に幽閉されている梓元が偽物だとは知る由もない。 …あなたが名前を変えるはずない、瑇山で心安らかにね… 安楽も翎湘楼(レイショウロウ)で洛銘西から改名の話を聞いた。 「怒ることではないわ…実際、子供を生かしたのは恩寵だもの」 「よせ、分かっている、君が不撓不屈(フトウフクツ)だと…」 それより洛銘西は偽の梓元があっさり改名を受け入れれば怪しまれると心配した。 「以前は私たちも名前で呼び合っていたわね、銘西哥哥… でもあなたが私を靖安に送って任安楽が生まれた 不幸な娘を身代わりにして10年も閉じ込めたのよ? 彼女は衣食住と引き換えに私の名を名乗ることになった これ以上、犠牲にはできない、自由にしてあげましょう」 翌日、韓燁は改名を強要された梓元の慰めになるかと采微軒で贈り物を準備した。 すると突然、安楽が現れ、大事な書物を横取りされてしまう。 実はその書は靖安侯が残した蔵書で、靖安侯の筆跡が残っていた。 そこで安楽はもし帝梓元が本当に下山したら返すと約束して帰ってしまう。 安楽は車の中で本を開いた。 懐かしい父の筆跡、安楽は必ず恨みを晴らすと決意を新たにする。 つづく ( ๑≧ꇴ≦)偽物クルーーーーーーーーーーッ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.03.27 23:13:00
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