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カテゴリ:安楽伝 全39話
安乐传 The Legend Of Anle 第32話 青南(セイナン)城の夜、冷北(ランベイ)は将軍印のありかを聞き出すため、安寧(アンニン)公主にしびれ薬を嗅がせた。 しかし白諍(ハクソウ)の声が聞こえ、慌てて手刀で打って安寧を眠らせてしまう。 「将軍!将軍!白諍です!」 「入れ」 冷北の声を聞いた白諍が部屋に入ると、安寧は机にうつぶして寝ていた。 「先ほどの名簿に漏れがあり、届け直したいのですが…」 「分かった、将軍はお疲れだ、あとで私が取りに行く」 翌朝、都では韓燁(ハンイェ)が四方館の火事の件で洛銘西(ルォミンシー)を訪ねていた。 莫霜(モーシュァン)公主が使用人を下がらせ独りで部屋に残ったところをみると、やはりこの火事には裏があるらしい。 「恐らく莫霜は死んでいない」 すると琳琅(リンロウ)が現れ、靖南(セイナン)からの文を届けた。 韓燁は洛銘西の表情から帝梓元(ディヅユアン)が出征すると知らせてきたのだと気づく。 「琳琅、馬車を用意しろ」 「私も行こう」 青南城の大営では安寧が寝台で目を覚ました。 しかし枕元の香炉で焚かれた薬のせいで身体に力が入らず動けない。 そこへ冷北がやって来た。 「冷北、今ならまだ引き返せる…なぜ故国を裏切るようなまねを? (はっ)まさか、お前は靖人ではないのね?!」 焦った冷北は自分の言う通りにすれば今と変わらない生活を保証すると説得した。 その時、安寧が力を振り絞って冷北の短剣を奪い、切り掛かる。 冷北は瞬時に刃をつかんで阻止したが、ちょうど白諍がやって来た。 「(コンコン!)将軍!お疲れだと聞いたので安神(アンシン)香をお持ちしました!」 すると冷北は安寧の口をふさぐため、強引に唇を重ねた。 白諍は返事がない将軍を心配して部屋に入ったが、衝立越しに寝台で睦み合う将軍と冷北の姿に気づき、慌てて出ていってしまう。 一方、洛銘西は韓燁と一緒に皇帝に謁見、帝梓元に出征を命じて欲しいと嘆願した。 「帝家は逆賊ではありません、安楽寨(サイ)も陛下の軍なのです」 韓燁も西北の軍だけでは兵力が足りないと訴え、安楽寨なら先鋒が務まると進言した。 「お願いの儀はもう一つ、私に軍献(グンケン)城を死守する役目をお与えください」 古雲年(コウンネン)の死後、各軍営を統率できる将がまだおらず、皇太子が出征することで軍の足並みを揃えたいという。 皇帝は唯一の後継者の出征に躊躇したが、結局、韓燁に皇太子としての本分を果たせてやろうと決断した。 靖南の梓元は皇太子が自ら兵を率いて出陣すると聞いた。 「この国の太子なら先陣を切るのは当然よ…」 莫霜の死が発端となり、今や靖国の国境を守るのは青南城と軍献城のみだった。 梓元は国と民を守るため、そして自分の人生に深い爪痕を残した韓燁と安寧を助けるためにも戦わねばならない。 その頃、韓燁は久しぶりに任安楽(レンアンルー)の姿を描き上げていた。 …梓元、ひとたび別れ、再び出会う、韓家と帝家の間で翻弄された私たちは一体、どこへ向かうのだろう… 青南城では白諍が姿を見せなくなった将軍を心配していた。 しかし居所を訪ねても冷北に阻まれ、部屋に入れば軍令に背くことになると脅されてしまう。 一方、韓燁は出征を前に洛銘西を訪ねた。 すると都では育たないはずの長思花(チョウシカ)がつぼみをつけていると気づく。 「さすがだな…これに比べたら私が瑇(タイ)山に届けていた物など独り善がりに過ぎない」 「韓燁…私が10年も守った女子が戦場へ行く、梓元に何かあれば許さぬぞ?」 「案ずるな、命を懸けて守る、ただし私が死んだら引き続きお前が守れ」 「死ぬな」 その夜、白諍は偶然、密談している冷北と兵士を目撃した。 「指揮官が死ねば青南城は落ちます! 殿下、これは弔い合戦です!公主の死を無駄にはできません!」 白諍は冷北が間者だと知った。 冷北は情が移った安寧を殺せず、何とか懐柔しようと試みた。 「北秦の兵力では西北を占領して終わる、広大な領土があるのになぜ西北にこだわる?」 「一片の土地すら渡さない、私は命懸けで国境を守るわ!」 安寧は冷北が将軍印を盗み、偽の軍令で靖国軍を撤退させる計画だと気づいていた。 「頑固だな、それでは君を守れない」 その時、白諍が戸を叩いた。 驚いた冷北は安寧の口をふさぎ、将軍ならすでに休んだと嘘をつく。 しかし白諍は今すぐ判断を仰ぎたいと引かなかった。 冷北は安寧の口に手巾を詰め込むと回廊へ出た。 すると白諍に剣を突きつけられてしまう。 「間者を捕えろ!」 待機していた兵士は一斉に冷北を包囲したが、冷北は白諍こそが間者だと訴えた。 将軍の腹心である冷北の言葉に動揺が走る兵士たち、その時、突然、部屋の戸が開き、安寧が現れる。 「冷北が間者よ!殺して!」 しかし冷北は咄嗟に白諍の剣を奪い、負傷しながらも兵士を蹴散らして脱出してしまう。 冷北の長きにわたる潜伏が終わり、北秦の軍営に戻った。 結局、敵将の公主を殺せず皇帝から厳しく断罪されたが、使いの宦官に賄賂をつかませ、取りなしを頼んでおく。 一方、安寧から文をもらった洛銘西は急ぎ琳琅に冷北の素性を調べさせた。 すると北秦に潜伏する間者が冷北の母親に仕えた女を発見、実は冷北は北秦の皇子・莫北(モーベイ)だと判明する。 どうやら皇帝に疎まれている庶子のため公文書に記録がなく、簡単にばれなかったのだ。 「琳琅、荷をまとめてくれ、西北の戦況が悪化した、北秦は大々的な攻撃を仕掛けてくるだろう 中郎将に任じられた私が援軍を率いて向かおう」 韓燁は援軍を率いて軍献城に到着した。 唐石(トウセキ)将軍の報告では西北で落城していないのはもはや青南城と軍献城のみだという。 すでに兵士も民も士気が下がっていたが、韓燁は皇帝からの勅命で援軍を連れて来たと訴え、山河と民を必ず守ると鼓舞した。 安寧は洛銘西の返信で冷北の正体を知り、愕然とした。 普通なら皇子自ら敵国に潜伏するなど考えられないが、莫北の母は身分の低い宮女ため皇帝に疎まれているという。 「私の過ちだわ」 安寧は自責の念に駆られたが、そこへ思わぬ朗報が届く。 青南城には洛銘西の援軍が向かっていたが、軍献城にも韓燁と梓元が来てくれると分かった。 莫北の元に急報が届いた。 韓燁が軍献城に到着、帝梓元もすぐ近くまで来ているという。 このまま帝梓元が大軍と合流すれば北秦に勝ち目はないだろう。 「帝梓元を近づけるな」 莫北は帝梓元を利用してある策を講じた。 「知らせは送ったか?」 「はい、ご指示通りに」 「将軍たちを集めろ、いよいよ青南城を落とす」 …安寧、この結果を望んだのは君だ… 安寧は洛銘西の援軍が届くのを待ちながら孤軍奮闘した。 白諍は公主である安寧を心配して撤退を進言したが、安寧は最後まで退かないという。 すると兵士が駆けつけ、北秦の密書を手に入れたと報告した。 「…梓元が伏兵に遭ったわ」 安寧は梓元の無事を祈りながら、援軍の到着まで何とか時を稼ごうと考えた。 韓燁は梓元が伏兵に狙われていると知り大営を飛び出した。 一方、青南城へ向かっていた洛銘西も靖南軍が行軍の途中で北秦の伏兵に遭ったと報告を受ける。 「青南城なら数日は持ちこたえられる」 梓元に危険が迫っていると知った洛銘西は勅命に背き、急遽、行き先を変更してしまう。 その頃、梓元たちは敵軍と交戦していた。 すると思いがけず韓燁が兵を率いて現れ、加勢する。 つづく ( ๑≧ꇴ≦)安寧nnnnnnnnnnnnnnnnnnnん! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.05.21 23:12:50
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