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カテゴリ:安楽伝 全39話
![]() 安乐传 The Legend Of Anle 第33話 帝梓元(ディヅユアン)率いる靖南(セイナン)軍は敵兵と交戦。 そこへ軍献(グンケン)城から駆けつけた韓燁(ハンイェ)たちが加勢し勝利した。 その場でしばし休憩を取ることになった両軍。 梓元は韓燁と距離を置いていたが、韓燁は自ら歩み寄った。 「恨みを捨てて良くぞ西北に駆けつけてくれた」 「恨みがあろうと同じ国に生きる者同士だもの」 一方、温朔(ウェンショウ)も想い人の苑琴(エンキン)との再会を喜んだ。 温朔は皇太子たちが並んで座る姿を眺めながら、ようやく打ち解けられたと安堵する。 「都を離れてやっと任安楽(レンアンルー)と韓燁の関係に戻れたんだな」 ![]() 韓燁はこうして梓元と共に戦えたことを喜んだ。 しかし梓元はふいになぜ韓燁はこの場所が分かったのかと訝しむ。 「北秦の密書が手に入り、君たちをここで襲うと知ったんだ」 「変ね、私たちが先に北秦の動向を知ったのよ?」 そこへ急遽、進路を変えた洛銘西(ルォミンシー)たちが到着した。 洛銘西は梓元の無事な姿に安堵したが、韓燁も北秦の密書を手に入れていたと知る。 すると韓燁は伏兵と言っても1000人にも満たなかったと話した。 その時、洛銘西の顔色が一変する。 「しまった!」 …青南(セイナン)城は激戦を極めた 援軍が到着するまで決して退かないと誓った安寧(アンニン) 城門で自ら待ち構え、敵兵を誘き寄せて罠にはめ時間を稼ぐことにした しかしいくら待っても洛銘西は現れず、ついに安寧は敵軍に包囲されてしまう すると莫北(モーベイ)が現れ、靖軍の主帥を生け捕りにしろと命じた 『ついに姿を現したわね…莫北!この恥知らずが!』 『安寧、武器を置け!今、投降すれば主帥の座は保証する!北秦は強情者に容赦せぬぞ?! 青南城が血の海になってもいいのか?!』 『望むところよ!お前ごときに屈するものか!』 激怒した安寧は思わず莫北めがけて長槍を放った 敵将は呆然と立ちすくむ皇子を慌てて助け、矢を放てと命じてしまう 『やめろ!』 莫北は慌てて止めたが間に合わず、最後まで抵抗した安寧は全身に矢を受け倒れてしまう… 『終わった、全て、終わったのね あの夜、静心(セイシン)堂へ行かなければ真実を知らず、罪悪感も持たずに済んだ そうすれば西北で冷北(ランベイ)に出会うこともなく、青南城を奪われなかったのに 私の名に込めた父の願いを果たせなかったわ…″安寧に生きよ″』 ![]() 韓燁と安寧に届いた北秦の密書は青南城へ援軍を遅らせるための莫北の策略だった。 呆然となる洛銘西、そこへ撤退した白諍(ハクソウ)が駆けつけ、無念の涙を流しながら皇太子に報告する。 「青南は落城、安寧将軍は討死しました… 殿下!将軍は最期まで援軍の到着を待っていたのです!」 「安寧はなぜ逃げなかった?!」 「攻防戦で敵が兵力を失えば援軍の勝機となるとお考えに…」 韓燁は梓元を救うため安寧と青南を見捨てた洛銘西に憤怒した。 すると兵士たちは一斉にひざまずき、洛銘西を死罪に処して安寧公主の魂を慰めるよう嘆願する。 「…私の罪です」 洛銘西は潔く罰を請うた。 「洛銘西を死罪に処す!引っ立てよ!刑の執行を待て!」 ![]() その夜、大営に到着した梓元は韓燁に洛銘西の死罪を思い留まらせようと必死だった。 「彼に償いの機会を与えて欲しい!」 「どうやって安寧の死に報いると?!」 「安寧を失い洛銘西まで失いたくない、代わりに私が罰を受ける」 「罪は己で償うべきだ…洛銘西を殺す他に術はない 妹を失った私が喜んで親友の命を奪うと思うか?! だが靖の太子として殺さねばならぬ…心中を察してくれ」 すると白諍が現れ、安寧から預かった文を渡した。 …帝家の潔白が示され、西北に戻り英霊を供養しようと思った でも実現する前に北秦に阻まれるなんて 私は全力を尽くし、兵が散ったこの地を守る たとえ討ち死にしようと、これで堂々と英霊たちに会えるわ 青南で生まれた韓家と帝家の確執は青南で解く だから梓元、太子哥哥 2人には過去のわだかまりを捨て、力を合わせ、国の再興を目指して欲しい 我が死に悔いなし、私の亡きあともどうかご自愛を… 戦況は予断を許さず、韓燁には妹の死を悼むわずかな時間さえ許されなかった。 温朔はそんな皇太子の心に寄り添い、黙ってそばに控えることにする。 しかし韓燁は温朔を先に休ませ、安寧の生前の姿に思いを馳せながら訃報をしたためた。 するとふいに涙があふれ出し、墨が滲んでしまう。 その頃、梓元は投獄された洛銘西と会っていた。 洛銘西は自分が死ぬことで軍の士気も上がると納得していたが、梓元は帝家の汚名をそそぐため尽力してくれた洛銘西を簡単に殺すことなどできない。 「帝盛天(ディセイテン)のように力を持つべきだと言ったわね?」 「ああ、言った」 「…私も同感よ」 翌朝、韓燁は吉利(キツリ)から温朔の姿が見えないと聞いた。 もしやと思いながら梓元を探しに向かったが部屋はもぬけの殻、机に置き手紙がある。 …韓燁、青南城の奪還と引き換えに洛銘西を救って欲しい… 驚いた韓燁は将軍たちを呼び、直ちに兵を率いて青南城へ向かうと命じた。 しかし将軍たちは洛銘西を殺すまでは兵の士気が上がらず、戦えないという。 韓燁は戦況を考えず軍令を無視するのかと声を荒らげ、今この時も国士や民に戦火が襲いかかっていると嘆いた。 「よく考えよ!安寧たちは国と民のため、撤退せずに死ぬまで戦った! 青南城を奪還せねば犠牲となった兵が報われぬ!」 すると白諍は安寧将軍の遺志を果たすべく、皇太子に従うと声を上げた。 温朔は安楽が青南城に出陣すると察し、先回りして合流した。 実は安寧将軍が城内の軍の備品と食糧を全て処分したと知り、今の北秦には軍備が行き届かず、守りも手薄なはず、一気に攻め入る好機だと気づいたという。 「韓燁の指導の賜物ね」 梓元は弟が生きていたら同じことをしたと感慨深い。 「行きましょう」 その夜、梓元は青南城に夜襲をかけた。 「歩兵は声を上げ敵兵の注意を引いて、その隙に私は冷北を見つけてひっ捕える 安寧の亡骸と青南城を奪還してみせるわ」 莫北は城内の異変に気づき、剣を抜いて部屋を出た。 その時、潜んでいた梓元が突然、襲いかかってくる。 「帝梓元か…いい腕だ」 莫北は殺された侍衛の剣を拾って二刀流で対抗、やがて2人は対峙した。 「安寧を返しなさい!」 「見返りはなんだ?!」 「屍まで取り引きに使うつもり?!」 すると莫北は安寧を長年、苦しめて来たのは帝梓元だと言い放った。 「太后の罪が暴かれた時の安寧の心の痛みがお前に分かるのか?!原因は全てお前だ! 私が安寧を利用していると言うなら自分はどうだ? 安寧のためを思うなら和議の印として土地と歳幣(サイヘイ)を差し出せ! そうすれば安寧も安らかに眠れる」 「冷北、もうたくさんよ、安寧は何より妥協を嫌う!」 「ならば殺すまでだ!」 ![]() ![]() 梓元と莫北の激しい剣の応酬が続いた。 しかしその間に皇太子が到着、城内は靖軍に制圧される。 莫北は勝ち目のないことに気づき、ひとまず撤収すると決めた。 そこで咄嗟に目潰しを放ち、一瞬の隙をついて梓元を蹴り飛ばす。 するとちょうど韓燁が現れ、梓元を抱き留めた。 「捕まえて…」 温朔は寝殿に逃げ込んだ莫北を追いかけたが、すでに逃亡したあとだった。 「韓燁…安寧を取り返せなかった」 「君はよくやった、青南城は奪還した」 つづく (# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ バンバン!冷北!何なの?!馬鹿なの?! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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