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カテゴリ:七時吉祥(シチジキッショウ) 全38話
七时吉祥 Love You Seven Times(全38話) 第31話 摩羅(マラ)帝宮本殿。 明月(メイゲツ)の力を得た昊軒(コウケン)は六界の盟主となるべく、次に滄海(ソウカイ)の霊力を狙った。 「皆の者、魔女を殺せ!」 すると麒麟(キリン)兵が現れ、滄海と護法・錦城(キンセイ)に襲いかかる。 強大な霊力を誇る滄海にとって一介の天兵たちなど敵ではなかったが、昊軒が背後から滄海を狙った。 しかし錦城が咄嗟に飛び出し、帝君を守って昊軒の一撃を受けてしまう。 滄海は結界を張って閉じこもり、自分の霊力で錦城を助けようとした。 しかし死期を悟った錦城は帝君を制し、必ず明月を救って欲しいと懇願する。 「私が詫びていたと…お伝えください」 すると錦城はそこで気を失い、倒れてしまう。 滄海の怒りが爆発、激しい気で結界を破り、麒麟兵たちを吹き飛ばした。 すると激情に駆られた滄海の目が血気で赤く光り、額に元神の印が浮かび上がる。 「いいだろう、見せてもらおうか、お前たち姉妹のどちらが強いのか」 昊軒は明月の邪気で我が身を守った。 しかし滄海の霊力がわずかに勝り、宝剣の剣先がついに昊軒の胸に到達する。 その時だった。 『姐姐…』 明月の声を聞いた滄海は昊軒に妹の姿が重なり、一瞬、手を止めてしまう。 その隙をついて昊軒は一撃を放ち、滄海は激しく床に打ちつけられた。 「滄海、私がお前の力も全て取り込んだらどうなるかな?」 驚いた滄海は姿を消したが、昊軒もすぐあとを追った。 滄海は無界の崖へ逃げたが無駄だった。 すぐ昊軒が現れ、深手を負った滄海にじりじりと迫る。 『姐姐!私を早く殺して!もう殺しはたくさんよ!』 明月は昊軒に取り込まれながらも、自分の邪気を使わせまいと抵抗した。 しかしそれも一時のこと、昊軒は弟に免じて楽に死なせてやるという。 その時、人間界にいた初空が戻って来た。 「やはり兄長か…」 初空は滄海の前に立ちはだかり、兄と対峙した。 「見られては仕方ない、初空、今までならお前には勝てなかっただろう だが今は違う、私は明月の力を得たのだ…それを試そう」 昊軒は明月の邪気の力で攻撃、金の麒麟である初空でさえ身を守るだけで精一杯だった。 滄海は劣勢を強いられる初空の背中を見ながら覚悟を決めた。 …明月の力があるのなら初空が危ない その力は私と同源、だから私が死んだら明月の力も永遠に消えるはず… すると滄海は急に崖っ縁に向かって走り出した。 「小棠(シャオタン)!馬鹿なことをするな!」 「初空、どうか長生きしてね、生き延びてこそ望みがある」 「私と添い遂げると言ったな…ゥッ……君は約束したはずだ…(´ ° ཀ°)グッ!」 「ごめんなさい、またあなたを騙して…でもこれが最後よ」 その時、初空は全身全霊で兄の邪気を跳ね返し、滄海を追いかけた。 「小棠nnnnnnn!不要啊aaaaaa!不uuuuuuu!」 初空は精一杯、手を伸ばし、身を投げた滄海の腕をつかんだかに見えた。 しかし腕は初空の手をすり抜け、滄海はそのまま無界へ吸い込まれてしまう。 「不uuuuuuu!小棠nnnnnnnn!」 ♪我的愛你明白~ (꒦ິ⌑꒦ີ)ダー! 初空の手元に残ったのは虚しくも敗れた薄絹の切れ端だけだった。 すると昊軒の身体からも明月の霊力が消滅してしまう。 一方、滄海は落下しながら、祥雲(シャンユン)の記憶を取り戻していた。 …初空、これが私たちの定めなのね… そしてついに滄海の身体が消散、しかし金の麒麟が滄海の元神を追いかけて行った。 初空は滄海を失って絶望し、そのままうなだれていた。 するとふいに祥雲との歴劫の記憶が蘇る。 …これが3万年前の真相だったのか、いつも記憶を消され、同じことの繰り返しだ… しかし今回は天機盤(テンキバン)を持っていた。 昊軒は元神を損なった弟の記憶を消したが、初空は危ないところで後ろ手に招喚した天機盤を操作することに成功する。 その時、慌てて修茗(シゥミン)が駆けつけた。 「修茗殿下、帝休(テイキュウ)族の敵は討った」 足元には滄海の衣の切れ端を握りしめて倒れている初空の姿があった。 祥雲が天界に戻った。 額には一瞬、滄海の印が浮かび上がったが、すぐ消えてしまう。 紅線翁(コウセンカク)はどこへ転生したのか、いつ戻るのかも分からなかった祥雲の無事な姿に安堵した。 すると祥雲は思いつめた様子で長寧宮へ行ってしまう。 初空と祥雲の転生場所は誰も知らなかった。 神君から詳細を聞かれた祥雲は意を決して何か言おうとしたが、ちょうど天界へ戻った初空が現れ止める。 「祥雲…自重しろ」 …確かに今の私に滄海の霊力はない、無茶はできないわ… そこで祥雲は孫(ソン)天王のひどい筋書きのせいで悲惨な死を迎えることになったと嘆いて見せた。 昊軒は元神が復活していない初空を怪しんだが、初空は七星連珠(シツセイレンシュ)で時空が乱れ、渡劫の際に命を落としかけて歴劫が失敗したとごまかす。 「何より無事に戻れてよかった、次はもっと慎重にな」 「恐れ入ります、では」 初空は祥雲を連れて瀟雲(ショウウン)殿に戻った。 「なぜ私を待たずに行ったんだ、危険すぎる」 「ごめんなさい」 「信じれくれ、約束する、滄海の潔白を明かし、李(リ)天王の敵を討つ そのためにも慎重に考える必要があるんだ」 祥雲も頭では理解していたが、摩羅族の3万年の苦労を思うと胸が痛んだ。 その時、ふいに海棠の花吹雪が舞う。 「私たちの縁は3万年前に結ばれたの?それとも修行で?考えてもいつだったのか分からない」 「いつであれ私たちは巡り会う運命だった」 「だけど…多くのことが解決していない」 「摩羅族の名誉を回復し、婚礼を終わらせよう」 初空は昊軒が神託を改ざんしたのなら必ず左腕から心の臓にかけて″厄誅(アクチュウ)痕″があるはずだと気づいた。 その頃、摩羅山では錦蓮(キンレン)が父の最期の姿を思い出していた。 当時、錦蓮は双子の妹・錦蘿(キンラ)と一緒に本殿で虫の息となった父を発見している。 錦城は息子に妹の面倒を見て、帝君と摩羅族を守るよう頼んで消散してした。 すると歴劫を終えた初空が天機盤を返しにやって来る。 初空はまだ摩羅族の潔白を示す証しが見つからないと正直に報告した。 落胆する錦蓮だったが、そこへ歴劫で小師妹だった小祥(シャオシャン)が現れる。 「いや、小祥ではないな?何者だ?」 「私は祥雲、3000年前は彩雲でかつては摩羅族だったの」 錦蓮はまた何か企んでいるのかと疑ったが、祥雲の話を聞いて顔色が一変する。 「病弱だったのに大きくなったわね 昔、錦蘿をかばってあなたが殴られ泣いた時、私が相手を追い払ったわ あなたは父親(フーチン)には言わないでと懇願し、指切りしたでしょう?忘れたの?」 「(はっ!)帝君!」 すると錦蓮は拝礼し、帝君と共に摩羅族を率いて再興を果たすと誓った。 初空が摩羅山から戻ると修茗が瀟雲殿で待っていた。 「3万年前に戻ったのだろう?証しは見つかったか?」 「…見つからない」 「認めたくないだけだろう?」 「だったら私を殺すか?」 「殺せないと思うのか?」 一方、滄海と再会を果たした錦蓮は錦蘿と紫輝(シキ)の捜索を打ち切った。 …父親、どうか摩羅族を見守ってください、必ず昊軒に血で償わせます… 初空は兄の腕の厄誅痕を確認すべく、六界の情勢をまとめた報告書を兄に献上した。 しかし報告書を受け取った兄の左腕に厄誅痕は見えない。 実は初空が訪ねてくる前、昊軒は青雪草(セイセツソウ)の薬湯を飲み、痕を抑えていた。 孫天王は長寧宮に駆けつけ、修茗が古の神器を鍛えていると報告した。 「砕魂箭(サイコンセン)ではないかと?」 驚いた昊軒はすぐ修茗を呼びつけ、天界で邪悪な神器を鍛えるなど許されないと叱責する。 「このことを知るのはまだ私だけ、もし他の者に知られれば罰は免れぬ」 「…分かりました、すぐ対処します」 つづく ( ๑≧ꇴ≦)ノ<不uuuuuuuuuuuuu! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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