カテゴリ:本の感想(一般) #bookreview
論語と算盤 渋沢栄一ウィキペディア; http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%8B%E6%B2%A2%E6%A0%84%E4%B8%80 渋沢栄一氏は幕末の志士からパリ留学を経て大蔵省に入り、官僚を辞した後は実業界に入って500以上の会社設立、その他沢山の社会団体、教育機関を立ち上げ、「日本資本主義の父」とも呼ばれる人物です。 彼が官僚を辞した後実業界入りしたときに発願したのが「道徳経済合一説」という理念。幼少期に学んだ『論語』を拠り所に倫理と利益の両立を掲げ、経済を発展させ、利益を独占するのではなく、国全体を豊かにする為に、富は全体で共有するものとして社会に還元することを説くもので、それがこの「論語と算盤」という著作に表わされているということなのですが。 ちょっと簡単に書かれすぎていて、この本だけでは渋沢氏の思想というものを十分にくみ取ることができないきらいはあります。 ☆あと、オルテガ・イ・ガセットの「大衆の反逆」を読んだときにも思ったことですが。 やはり個人的な道徳とか、ボランタリティとか慈悲心とかそういうものを他人(なかんずく商人に)期待し、それを基盤にして社会を構成しようとしすぎるのはちょっと無理じゃないかなというのが個人的な意見です。 「衣食足りて礼節を知る」(「管子」)という言葉もありますが、通常特に悪い方ではなくとも、こう不景気が続きますと、しなくともいい悪事に手を染めてしまう、そんなことは現在でも結構あるわけです。 それを防ぐためには教育も大事ではありますが、犯罪防止のための法整備、社会保障制度なども必要ですし、経済の動向をある程度安定させる努力も必要になってきます。 私のこういう考え方は諸氏百家のうち「法家」に近いのだろうと思いますが、そう考えると人間の本性というものは、百家争鳴する春秋戦国時代からあまり進化していないのかも知れません。 ☆それから、元官僚のかたが上から「儒教道徳」を説いて「臣民を教導」しようとしても、なかなか聞いてもらえないということもあったかもしれません。 ルールを守り、顧客と業界内の信用を築いて、余裕があれば社会貢献などもするほうが、まわりまわって御社の利益につながりますよ、的な誘導の仕方をしたほうがよかったかも知れません。 それも、ある程度余裕があってこそのことですけれども。 この本のミニマインドマップ(上) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.05.15 18:55:33
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