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Jun 20, 2008
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【過去に書いたコラムみたいな文章を再録。10日に一度ぐらいのペースで更新中です】



そう、”それ”は毎試合かならず起こるわけではないのだけれど。

ゴール裏の応援に付和雷同するのでも、造反するのでもない。
シンクロして同調しあって、やがて試合の盛り上がりとともに、スタンド全体に、意志が宿る。
あの不思議に”有機的な”空間のことを、どう言葉で説明したらよいのだろう。

たとえば、2ndステージ第6節のサンフレッチェ広島戦。
言うまでもなく例のゴール裏論争の直後の試合で、
だから勝ち負けはともかくとしても、だらけた試合にはしたくなかった。
しかし乏しい内容の前半、どこか他人事のように醒めたスタンド。
筆者は個人的に危機感をつのらせていた。

だが、試合後半のスタンドの雰囲気は一変する。
攻めあぐねる選手たちを鼓舞するように、拍手に力がこもった。
歌声が徐々に大きくなる。
ビールを飲みながらのんびり観戦していたサラリーマンのグループが、
おしゃべりばかりしていた女の子の2人連れが、
試合にひきこまれていくのがありありと見てとれる。
もっと彼らを巻き込みたくて、手が痛くなるほど強く手拍子を続ける。

そして試合終了間際、ツゥットのゴールが決まった瞬間。
漲って張りつめていた意志が、爆発した。


”2点差で負けていて、終了5分前かそこらにようやく1点を返した”。
客観的に見ればそれだけの状況にすぎないゴールに、
言いようのない幸福を感じたのは、そのゴールに確かに自分たちも介在した、と思えたからだ。
あの日の東京の観客は、いつもよりいっそうの自覚をもって、まわりを巻き込みにかかっていた。
そして、試合の流れを見て、応援にめりはりをつけるだけでなく、
自分たちの応援によってリズムを変え、ついにゴールを奪いとった。
負け惜しみでなく、あの1ゴールさえ決まれば、勝ち負けなどどうでもよかったのだ。
少なくとも、あの日の筆者にとっては。

”感動したければ東京の試合を見に行け”
こんなフレーズを目にするたびに、面映ゆさと同時に、かすかな違和感をおぼえる。
何かを”受け取る”のを期待してスタジアムを訪れるのは、そろそろ終わりにしてもいいんじゃない?

フットボールスタジアムの興奮と、戦うマインドに満ちあふれた観客に出会いたければ、東京の試合を見に来ればいい。
でも、興味本位でゴール裏ばかりに注目するのではなく、試合に参加してシンクロして、熱くなってほしい。
できればメインスタンドかバックスタンドで、そしてできるだけ少人数で。
東京なひとびとが”Jリーグっぽさ”を軽蔑する理由がきっとわかるはず。

もしかしたら、期待とは裏腹のローテンションな試合と応援に、
東京ってこんなものなの?と落胆して帰ることになるかもしれない。
むしろその方が多いかも。でもそれは当然のこと。
だって”それ”は毎試合訪れるわけではなく、
誰にでも感じられるわけでもなく、
誰もが同じように感じられるわけでもなく、
まして誰かから与えられるものでもないのだから。

そう、”それ”は毎試合かならず起こる約束ごとなどではなくて、
だからこそ大切に守っていきたいもの。   





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Last updated  Jul 4, 2008 09:51:17 PM
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