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今日はミカンのおいしさについての話題です。
昭和42年(1967年)出版の「柑橘」によると、ミカンの果汁の成分は 全糖・・・・・・・8・7% クエン酸・・・・・1.0% 全窒素・・・・・・0.1% フラバノイド・・・1.0% ペクチン・・・・・0.02% セルローズ・・・・0.07% カロチノイド・・・2.7mg ビタミンC・・・・35mg 水分・・・・・・・90.0% となっています。 中国では果物のことを「水菓」と言いますが、tetywestこの表を見て「なるほど、納得」です。ミカンも9割は水だったのです。 でも、一ヵ所「何かおかしい」と思うところはありませんか?そうです、「全糖・・・・・8.7%」の部分です。 最近はスーパーで売られているミカンも「糖度12度以上」とか「糖度11度保証」とか書かれているようですが、光センサー選果機を使って箱詰めされたミカンならそういう表示も可能なのです。でも、「糖度12度」とは「全糖が12%含まれている」とほとんど同じはずなのです。上の成分表の「8.7%」ではせいぜい「9度」までしか表示できないでしょうね。 ここからがtetywestの言いたいところなのですが、1967年から30年の間にミカン農家は栽培技術によって糖度を2度以上あげたのです。 昭和47年のミカン価格大暴落以来、生産過剰になってミカン農家の経営は苦しくなりました。そんな中で、美味しいミカンだけは高く売れたのです。それまでは、少しでも多くのミカンを作ろうと努力していたミカン農家は、「量より質」が大切なのだということを身をもって実感するのです。 ミカンの糖度をあげるために、農家は糖度の高いミカンの品種に更新したり、肥料の量を控えたり、夏の潅水をできるだけ我慢したり、秋に根を切ったり、砂糖水を醗酵させた液を散布したり、挙句の果てには電磁水とかいうあやしげな水をかける農法を試したり、実に涙ぐましい努力で試行錯誤を繰り返したのです。これ以外にも、数え上げればきりがないほどいろいろな栽培技術が生まれては消え、また生まれては消え・・・・ていきました。 そして、21世紀になる10年ほど前になってようやく、誰にでも出来て、しかもある程度確実に効果がある栽培技術が普及しました。これが植物生長ホルモン剤フィガロンとタイベック・シートだったのです。※フィガロンは「ミカンよもやま話(6)」参照。タイベック・シートは「熊本への旅(9)」参照。 ↑で「ある程度」と書いたのは、これらの技術とて、決して完璧ではないからです。やはり、糖度に一番影響を与えるのは栽培されている地方の土壌条件や気象条件なのです。これは人の力ではどうしようもないですよね。 mmayunさんから、人工的な操作でミカンの木には影響がないのだろうかという書き込みをいただいたのですが、影響は大いにあります。根の活動を抑制するということは、肥料や水分の吸収が悪くなることなのです。ですから、植物生長ホルモン剤を散布するとき、元気な樹勢の良い木ではちょうど良い濃度でも、弱っている木にとってはすごいショックになって枯れてしまうこともあるんです。また、冬場の根の貯蔵養分も不足しますから、次の年のミカンの着果数は確実に減ります。ミカン農家は、ホルモン剤を散布する時には木の状態を見ながら散布量を変えているのです。 現在の技術ではミカンを甘くするということは、ミカンの木に無理を承知で多かれ少なかれストレスを与えなければ不可能なのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2001年12月15日 22時04分44秒
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