カテゴリ:お知らせ
20歳代の修業時代の話です。個性の強い師匠でしたので、アイディアもどんどん出てくる人でした。夕方、新しいアイディアが出てきたからと、私に紙を渡すことが度々でした。弟子の仕事はそのアイディアを、現実のものになるよう準備をします。 夜どのようにしたら上手くいくか考え、翌日準備を始めてある程度仕上がった頃、今度は違うアイディアの紙を持ってきて、これをやってくれということが度々でした。師匠にとったら新しいアイディアの方を先にやりたかったのでしょう。でも私はころころ変わる仕事に反発したものです。いらいらしながら仕事を進めたこともあります。師匠と喧嘩をしたこともあります。 そしてあるときから考えを変え、師匠の言うことは文句を言わず、何でもそのままやってみようと変えたのです。自分の考えを入れないことに徹底してみました。これをやれと言われれば、今やっている仕事はそのままにして、次の仕事をやるようにしたのです。 自由気ままな師匠だと思っていたのですが、こちらにもこうした方が良いだろうとの拘りがあることに気付いたのです。自分に原因はないと思っていたのですが、相手を変えようとする自分がいたのです。自分を変えてみると、すんなり事が運ぶようになりました。 大の大人を変えようと思っても、本人が変わるつもりがないのですから、殆どの場合変わることはありません。相手を変えるのではなく自分が変わることで、多くの問題は解決するようです。師匠はそれを気付かせてくれたのです。 お陰さまでもうひとつ、いい習慣が身に付きました。新しいアイディアが出されたとき、できない理由を考えるのではなく、一旦受け入れるということです。断らず受け入れれば、何とかなることを知りました。自分のちっぽけな考えを入れず、あるがままを受け入れるということです。 沢を越えると、水場があります。 このガレ場を過ぎると、もう直ぐ頂上です。 この上が女峰山頂上。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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