Sun City
80年代半ばのチャリティブーム、俺が一番楽曲として好きだったのが、以前も何度か書いたとは思うけどこのSun Cityだ。 同じアフリカに向けたメッセージでも、Do They Know It's ChristmasやWe Are The Worldが「愛」を基調に歌っているのに対し、この曲の基盤となっているのは「怒り」だ。勿論そのメッセージの目的が違う。飢餓に苦しむアフリカに食料を、と言うメッセージには怒りはない。 差別に苦しむアフリカ人に救いを、という場合なら「愛」が基調となるとは思う。だけど、この曲の参加アーティストにヒップホップやジャズ、ソウル系の黒人ミュージシャンも多いことを考える。勿論We Are The Worldだってクインシー、マイケル、馬面の三人とも黒人できっと「飢餓に苦しむ、遠い国の同胞に愛を」的な(俺の表現嫌みか?)考えだったとは思う。 しかし特にヒップホップの人、彼らに語らせたらきっと同じ言葉を語ってもこうなるんじゃないか。特に問題は差別、暴力だ。「てめえらオレの兄弟に手ェ出したらただじゃおかねえぞ!?」 Sun Cityはそう言う曲だ。「差別と言う暴力」に対し、目には目を。「暴力的な音楽」で対抗したのがこの曲だ。やっぱり映像でこの迫力を見て欲しい(俺もそれで好きになった)から珍しくYouTubeへリンクを貼ろうと思う。 このテのもので参加アーティストが豪華なのは今更驚くことじゃないけど、ハービー・ハンコックやマイルスっていうのはやっぱり凄いと思う。あとリンゴとザックの参加ってのもね。まあ、この「誰が聴いてもアーサー・ベイカー」って音にリンゴを使った意味ってのがどこにあるのかは不明。この曲からリンゴの音を判別出来たら凄いと思う。まあ「リンゴ・スター」って看板だよね、欲しかったのは。リンゴもそれを解ってると思う。 細かく目につく話を。○ジョン・オーツがシンガーとして参加してるのが嬉しい。でも後ろからやってくるルー・リードも無性に良い。○後半の集合コーラス(チャリティものの定番シーン)がダンスシーンになってしまってるのも凄いが、そこでのマイケル・モンロー(と、スティーヴ・ベイター)が異常に楽しそうなのが素敵。○ボノはどうしていつもこう美味しいシャウトを持って行くのだろう。○Live Aidの映像だけどピートのジャンプが挿入されてるのを見逃すな。○デイヴィッド・ラフィン、エディ・ケンドリックス、ブルース・スプリングスティーンの3人が練り歩くシーンが格好良い。テンプテーションズ組のクールさがたまらん。 それにしてもこの曲が今CDなどで手に入らないのは惜しい。確かにアパルトヘイトが撤廃された今、その役割を終えた曲ではあると思う。でも「音楽」として見たらソレとコレとは別って話じゃないか。もうこの際だから、再発してさ、印税もリトル・スティーヴンに行ったっていいからさ。どうにかならねえかなぁ。