Helge Lien Trioの傑作アルバム。久々にピアノトリオ。コレは好きだなあ。
【No.574】
・Helge Lien Trio:To The Little Radio (2006)
Helge Lienはノルウェーのピアニスト。ジャズピアノが好きな人は、ご存知な方が多いと思います。ノルウェーのピアニストとしては近年ではTord Gustavsen【No.426】あたりも人気ですし、北欧は良いピアニストが多いですね。本作は5枚目のアルバムで代表作の一つ。タイトルも好きなんですが、ジャケが何となくECMを連想させ非常に魅力的。これが店頭にあったら手にとってみる人が殆どではないでしょうか(勝手に決めつけ)。ECMの諸作品で知られるオスロ、レインボウ・スタジオでの録音で、サウンド的にもECMに近いです。この作品では、スタンダードや有名アーティスト(Freddie HubbardやWayne Shorter、Carla Bley、Tony Williams等)のナンバーをとりあげていますが、選曲がその辺のピアノトリオ作品とは一味違っていて新鮮なのがポイント。実に多彩な選曲がされており、ジャズに対する造詣も深そうですね。ピアノも繊細で美しく、かなり好みな音。アルバム全体の聴感温度(造語です)は低めですが、だからといって冷たい印象は受けません。音数が適度で、旋律と同時に音空間も楽しめる作品ですね。空間的な拡がりを感じさせつつ芯は一本とおっている感じ。文章では伝えにくいのですが、色んな面で絶妙。75年生まれの若手とは思えない思慮深い演奏が素晴らしいと思います。他のメンバーも若いですが、トリオとしてのコンビネーションも抜群。バラード中心の穏やかな作風で「Grandfathers Waltz」「Look For The Silver Lining」「So In Love」「Amapola」「To The Little Radio」をはじめ良い曲が多く、敷居の高い作品ではありません。ジャズピアノに興味のある方ならジャケ買いでOKでしょう。特にECMや欧州のピアノトリオが好きな人は要チェックなアーティストですね。丁度、新作「Hello Troll」が今秋に発売されています(こちらは全曲オリジナル)。