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テーマ:ハープタイル(27)
カテゴリ:生物
クサガメも
全国の池などに生息し、日本の在来種とされてきたクサガメが、大陸由来の外来種だったことが京都大などの研究で分かった。18世紀末の江戸時代に朝鮮半島から持ち込まれたとみられる。交雑により日本の固有種の遺伝子汚染を引き起こしており、国や自治体は保護行政の見直しを迫られそうだ。 京大大学院の疋田努教授(動物系統分類学)と大学院生の鈴木大さんは本州、四国、九州の計19カ所の河川で野生のクサガメ132匹を捕獲。ミトコンドリアDNAを分析した結果、日本の在来種ではないことを突き止めた。アジア産のクサガメとDNAを比べると、約8割の102匹は韓国と一致した。 一方、江戸時代の動植物を網羅した書物でクサガメを調べたところ、貝原益軒の「大和本草」(18世紀初頭)に記載はなく、小野蘭山の「本草綱目啓蒙」(19世紀初頭)には記載されていたことなどから、18世紀末の江戸後期に日本へ移入されたと推定した。 当時の大陸との交易ルートは(1)中国から長崎(2)朝鮮から対馬を経て福岡-の2経路。 長崎に滞在したドイツの博物学者、シーボルトの著作にクサガメは見当たらず、朝鮮から持ち込まれたのがルーツと結論付けた。愛玩用だったらしい。 野生のクサガメは日本の固有種であるニホンイシガメと交雑し、放置すれば貴重な固有種の遺伝子や生態系を損なう恐れがある。疋田教授は「ニホンイシガメの生息地ではクサガメを駆除すべきだ」と話す。 ただ、外来種を規制する外来生物法は明治以降に持ち込まれた生物が対象で、江戸時代の移入種は対象外。クサガメは日本人に広く親しまれ、山口県・見島の群生地は国の天然記念物に指定され、駆除には慎重論も予想される。 【用語解説】クサガメ 全国各地の川や沼などに生息、甲長20~30センチのイシガメ科。甲に縦3本の隆起線、頭部側面に黄色の模様がある。日光浴を好み、公園の池でよく甲羅干しをしている。脚の付け根からくさいにおいを出すことが名前の由来。ペットとして飼育され、子ガメは別名ゼニガメ。長く在来種とされてきたが、国内で化石や遺跡からの出土例がないため近年、外来種の可能性が指摘されていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.08.24 21:41:22
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