カテゴリ:ちょっと高度?個人情報保護とセキュリティ
少し、話は高度になりますので、興味の無い方にはすみませんが・・・
実は、個人情報保護法では個人情報を漏らしたからといって、即罰則があるわけではありません。 個人情報保護法56条では、34条2項3項の命令に違反したとき罰則があると書いてあり、 57条では、32条、46条の報告をしなかったり虚偽の報告をしたときに罰則があると書いてあります。 ちなみに32条、46条では主務大臣が報告を求めることが出来る規定になっています。 と、言う事は、56条、57条では主務大臣が何らかのアクションを起こして、それに対する対応の仕方で罰則が決まっていることになります。 ただ、個人情報を漏らしただけで罰せられることは無いのです。 (ただ、特別の業法で守秘義務がある場合があるので関連業界の皆様はお気をつけ下さい。) それでは、個人情報保護法が施行されてあまり意味が無いのではという疑問があるでしょう。 確かに個人情報保護法では罰則が特に重いというわけでもなさそうです。 しかし、個人情報保護法によって個人情報を扱う者は、 その個人情報を適切に扱わなければならないという義務が明確になりました。 そのため、個人情報を適切に扱わず、個人情報を漏らしてしまうと、その行為が損害賠償の対象(民法709条)となることが明らかとなってしまったのです。 (仮に個人情報保護法が無くてもプライバシーの権利の侵害として、少なくとも「法律上保護されるべき利益を侵害」したことになりますので、今回改正のあった民法709条で損害賠償の対象になってしまいます。) 損害賠償の対象になると言う事は、損害賠償金の支払いをしなければならなくなります。 仮に一件につき5千円の賠償額だったしても、100件となれば50万。100件となれば500万にもなります。いくら一件が少額でも1000件となれば大した金額になってしまいます。 ただ、訴訟では一件5千円ではすまないと考えられます・・・そうすると目も当てられない金額になります。 訴えられれば、時間と労力と(特に専門家に依頼するときは)お金がかかります。 さらに、個人情報が漏れたというと、その会社(企業)のイメージが悪くなります。 特に個人情報を扱う事を仕事としている企業では、 たちまち事業が出来なくなる恐れもあります。 (例えば結婚相談所、人材派遣会社など) そう考えると、損害賠償+事後処理(訴訟等を含む)のコスト+イメージダウンによる損失・・・ 目に見えない損失まで含めると金額に直せばかなりのものになります。 その意味では、個人情報保護法は一定の役割を果たしているといえます。 また、個人情報を漏らした為に本当に全く罰せられることは無いのかと聞かれると、無いわけではありません。 それは次回少しだけお話したいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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