テーマ:DVD映画鑑賞(14209)
カテゴリ:Blu-ray
先月購入した映像ソフトはいつもよりチョイ少な目で、ブルーレイを二枚ほど。
まずは、セルジオ・レオーネ監督渾身の遺作でもある“ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ”。 実を言えば、この“完全版”を観るのは今回が初めてだったりする。 正直に書けば、以前観た“旧ヴァージョン”の際は、こちとらがまだガキだったせいもあってか、物語的な面白さをあんまり感じとる事が出来なかったのだな(無論、レオーネ監督による画作りの素晴らしさというのは、充分堪能できたのだが) で、その印象があまりに強すぎたせいで、監督自身の編集による完全版がリリースされたと聞いても、あんまり積極的に観ようとはしてなかったのよ。 ところがここ最近DVDなどでレオーネ作品を収集し始めてしまい(“アルティメット”以降のリマスター&日本語吹き替え収録が、主な購入の原動力)、何だかんだで“荒野の用心棒”以前のフィルムを除けば、あとはこの映画を残すのみになっていたと。 それでも、いまいち購入する気がおきなくてねぇ…… が、ここにきてのブルーレイ版リリース―― しかもAmazon価格で1,399円とかね。 いや、ここで決断しなくきゃ、もう一生購入する機会はないな、と(笑) おそらく年齢的にも、当時とはかなり違う印象を受けるだろうし。 ~というわけで、ようやく重い腰を上げて完全版を観終えましたよ。 んで、結論ッス(はやっ) 確かに昔観た時よりも、断然面白く感じたッス。 時間軸が移ろう展開は、この映画の肝ともいえる郷愁(ノスタルジー)を鮮烈に表現しているし、尺的にもたっぷりとったその重厚なボリュームは、まさに登場人物たちの人生の重さそのものを感じさせてくれるのな。 何より―― レオーネ監督が物凄い熱量でもってメガホンを取っているのが、観ているコチラ側にも終始ビンビンと伝わってくるのだ。 映像そのもののスケール感といい、男たちの持つ底の見えない深みといい、モリコーネの荘厳なBGMといい、最初から最後まで圧倒されっぱなし。 「レオーネ監督、死ぬ前にこの映画を完成できて良かったね~」と思わずにはいられない、まさに渾身の一作であると。 ただ、何というかね―― ここはやはり本音をズバリ書いておきますけど、以前のレオーネ作品と比較すると、やはりこの“ワンス・アポン~”が一番面白くないのも、また真実なんでさ。 “続・夕陽のガンマン”を頂点に、以降はなだらかな下降線を描いているような印象というかね。 個人的には“夕陽のギャングたち”の方が、この映画よりも面白かったもんなぁ…… よく言われるように、映画監督には好き勝手に撮らせるより、ある程度の“縛り”があった方が良い人もいらっしゃるようで、レオーネ監督は残念ながらそういったタイプに分類されるのかも知れませんな。 物凄ぇ作品だとは思うけれど、ダントツに面白いというワケでもない―― ワタクシにとってはそんな評価に落ち着きそうな作品であります。 それでもその辺に転がっている一山いくらのマフィア映画なんぞよりは、遥かに好きなんだけどね(笑) さてもう一本は、以前このブログでもチラッと取り上げた事にあるSF映画~“月に囚われた男”であります。 何やら面白そうな風評を聞いてはいたが、ソフトリリースが“第9地区”とブッキングしてしまった為、値段が割高というのもあり、購入を見送っていたというアレでおます。 これも半年待って、廉価版リリースというタイミングでの購入と相成りまして。 さて、これがもう素晴らしく面白い! いや、もう何処から見ても100%SFしている映画なんでさ、むしろこういったジャンルでここまで純粋な作品って、最近そうそうは無いんじゃね? やはりハリウッドメジャーではない、英インディペンデントだからこそ、こういう映画に仕上がったんだろうなぁ。 逆に独立系にしては、それらしいショボさが全く感じられなかったりと、ホント、やりようによっては低予算でここまで立派な宇宙SFが出来るんだなぁ……と感心することしきり、であります。 一応ミステリー仕立ての映画なんで、あんまりネタバレになるような事は書けないのが、悔しいといえば悔しい。 え、他の映画では平気でネタバレしてるだろって?(笑) ――いやいやこの映画は、自分の中でもちょっと特別な位置に来た作品なもんで、敬意を払って慎重に紹介したいのであります。 そうです、エコヒイキしているの(笑) とりあえず“2001年宇宙の旅”“サイレントランニング”“アウトランド”“エイリアン”“ブレードランナー”といった錚々たる名作SF映画群へのリスペクトによって、この映画が成り立っているのは間違いないのだろうね(監督本人もメイキングで熱く語っているし) 未来の月面基地で“HAL2000”と一緒にサイレントランニングな生活を送る主人公が、エイリアン的な陰謀に巻き込まれ、アウトランド的な緊迫感の中で、ブレードランナーな悲劇を迎えるお話? ……うん、概略はこれで間違っていないはず(大笑) ただこの映画の真に凄いところは、こういう『どこかで観たような表現』を随所に採用しながらも、最終的には現代風の完全オリジナルなSFモノとして成立しているところなのだな。 あと個人的に辛抱タマらなかったのが、巨大なスタジオに組まれた実物大のムーンベースのセットであります。 何つーか、建物の1フロアを、そのままスタジオに持ってきたって感じ? 誤魔化しの無い間取りはモチロン、壁~天井まできっちり作られており、そのうえ室内照明まで細かく計算されてるのだから、もう観ていて溜息しか出てこないというね(メイキングでは、ロングショットを撮る為に、わざわざ壁に穴を開ける場面があったりと、なかなかに大変そうではありましたが) それと月面上の特撮場面は、今となってはオ-ルドスタイルなミニチュアワークで撮影されており、これまた昨今のオールCG映像では味わう事が出来ない、妙にリアルな質感の表現に成功しているのだな。 ビークル類のアクションもいちいちソレっぽいし、そのミニチュア映像を更にCGでお化粧する事によって、実に素晴らしい効果を得ているのよ。 確かに手間のかかる手法だとは思うけど。 とまぁ、ビジュアル的にも内容的にも、そしてドラマ的にも(!)SF映画ファンには堪えられない魅力をギュッと凝縮した感のある、この映画―― 未見の人は、この機会に是非!! 俺も、いずれは詳しいレヴューを書きたいッス。 そうそう、最後に与太話を一つ。 この映画の監督~ダンカン・ジョーンズがデビッド・ボウイの息子なのは割と有名な話なんだが、製作のトルーディ・スタイラーも実はスティングの嫁さんなんだとさ。 こういう人脈で、今作のような傑作SF映画が出来るってのも、何かカルチャーの流れ的に興味深いものがあるよね。 最近だと南アの“第9地区”といい、やはりハリウッドとは違うところじゃないと、こういう個性的で刺激的な映画は出てこれないのかもなぁ…… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.03.01 14:15:09
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