「輝きのひと時」
けだるいからだに 肩が下がる ショルダーバッグ
コートの前を合わせて 背中を丸めて立つ
そっと 首を上げると
今朝も 電車と ホームの屋根の間から 青空がのぞいている
そういえば 昨日の朝は 春らしくない 輝きがあった
線路の 進む方に 視線を移すと
そこには いくつもの 銀色の輝きが
朝陽を 跳ね返して わたしに 届いている
先ほどまでの 違和感も いつのまにか とろけている
あの感触は どこで味わったものだったか
心臓の鼓動を 聞かされるような 静けさ
靴の裏から 這い上がってくるような まとわりつくものを
感じるほどに 五感が研ぎ澄まされていく
草いきれの中 汗が噴出し そのしずくが からだの周りで
輝きを宿しつつ きらめいている
ごく普通の 日常の流れにいながら
あの時の 輝きが よみがえってくる
薄ぼんやりとした こころのゆれる隙間に 輝きは
確かに 理解できた
だからといって わたしの日常は 繰り返す
電車が ホームに 滑り込んできた
さあ 一歩 前へ
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