2ヶ月前、日本から新しい駐在員さんが来た。
Suhの直属の上司にあたる人だが、
これが「困ったちゃん」上司。
詳細は省く…
そのためか、毎日家に帰ってくると
精も根も尽き果てて、バタン・キュー。
気がつくといつも朝で、急いでシャワーを浴びて
慌てて出勤、の悪循環が続いていた。
このままでは、この「困ったちゃん」上司に
Suhのプライベートの時間まで台無しにされてしまう…!
好きな本でも読んで、充実したアフターファイブにしたい。
しばらくできなかった読書にいそしむことにした。
***
Suhの最近のお気に入りは
「光文社古典新訳文庫」のシリーズ。
キャッチフレーズは、
「いま、息をしている言葉で、もういちど古典を」
学生時代に読もうとして、挫折したドストエフスキーの
「罪と罰」も「カラマーゾフの兄弟」も、ついに最後まで
読むことができた!
![DSC06062aaa30.JPG](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/01/0000463601/45/imgcd4c310fzikdzj.jpeg)
両方とも3回は読んだが、また読み返すつもり。
何度読んでも新しい発見がある。
これが古典といわれる故なのだろう。
このシリーズで最近、星の王子さまの作者、
アントワーヌ・ド サン=テグジュペリの「夜間飛行」の
新訳が発行されたのを知った。
アマゾンco.jpのサイトはこちらを。
なんと言ってもまだユーロが弱い。
日本から取り寄せるのはやめて、ドイツ語で
読むことにした。
さっさと仕事を終わらせて、上司を振り切るように
駅に向かい、帰りの新幹線に乗り込む。
![IMG_0234aaa20.JPG](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/01/0000463601/46/img96d3b3fczikbzj.jpeg)
ミュンヘン中央駅にて。
この日は、「夜間飛行」2日め。
![IMG_0238aaa20.JPG](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/01/0000463601/47/img327f579czik7zj.jpeg)
お供は、血糖値を下げる効果があるという
かぼちゃの種。
最初は、映画のシーンを見ているような感じで、
なんだか「カサブランカ」みたいで、
(小説の舞台が同じような年代?)
「せりふがキザだね…」とか、一人でブツブツ
言いながら読んでいた。
でも、ハッとするような言葉遣いが随所にあり、
本を手から離したくないような、宝の小箱を持っているような
そんな気持ちになっていった。
でも、最後は、そんな終わり方はないだろう…と
思ったくらい不完全燃焼。
これだったら、「星の王子さま」と変わらないのでは…
いや、そんなはずはない…と2回目に突入。
読んでいて、同じような気持ちになった本があったことを
思い出した。
もう10年も前に読んだ本である。
Jean-Dominique Bauby
„Schmetterling und Taucherglocke“
![DSC06084aaa30.JPG](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/01/0000463601/48/img33994aebzikbzj.jpeg)
邦題「潜水服は蝶の夢を見る」
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フランスのファッション雑誌「ELLE」の
編集長をつとめていた著者が、43歳で突然
脳梗塞で倒れた。
意識ははっきりしているのに,
体が不自由になり、
唯一自由に動かせる左目の
まばたきを使って書いた本である。
体は不自由でも、精神は、蝶のように自由に
飛んでいるのである。
著書のジャンドミニック・ボービー
![DSC06083aaa30.JPG](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/01/0000463601/49/imgf7e0d8bfzik2zj.jpeg)
おしゃれ…
この本を「書く」ために、アルファベットを
よく使われる順に並べたものを使用。
![DSC06082aaa30.JPG](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/01/0000463601/50/img3d1d8fb0zik0zj.jpeg)
写真中央の、大文字で書かれているところが
その順番。
日本語だったら、どの文字が一番使われるのだろう。
著者は、この本がフランスで出版された、その
2日後に亡くなっている。
どちらも、生と死のあいだ、
どちらも、フランス人によって書かれた本である。
書かれた時代は違っても、フランス人の
メンタリティで、どこか共通するものが
あるのだろうか。
前の会社で、フランスの顧客担当だったときは
フランス人に散々やられたが、やっぱりフランス人は
独自なセンスをもった哲学者なんだと思う。
そういえば、日本にいた頃、夏になると
「新潮文庫の100冊」とか銘打ったキャンペーンが
行われていた。
今もやっているんだろうか。
あぁ、あの本を思いっきり読みたいなぁ。
私も今年の夏は、「積んどく」になったままに
なっている本を、片っ端から読んでみようか…と
思っている。