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カテゴリ:古書
昔、これ一を得る者あり。
天、一を得るを以て清く、地、一を得るを以てやすらか、 神、一を得るを以て霊に、谷、一を得るを以て満ち、 万物、一を得るを以て生き、候王、一を得るを以て天下をさだめる。 これその到るは、一なり。 天、清をもって無ければ、まさにおそらく裂く。 地、やすらかさをもって無ければ、おそらく発す。 神、霊をもって無ければ、おそらく化す。 谷、満つること無ければ、おそらく渇す。 万物、生をもって無ければ、おそらく滅す。 候王、定まらなければ、おそらくつまずく。 ゆえに貴は賤をもって本と為し、高は、下をもって基と為す。 これを以て候王、自ら孤、募、不穀と言う。 これ賤を以て本と為すにあらずや。 いなや。 ゆえに興を数えるに致すは、興無し。 禄々を欲せずして玉のごとし、 絡々として石のごとし。 太古の昔、一は与えられた。 天は一を得て清く、地は一を得て固まった。 神は一を得て見えない働きとなり、谷は一を得て満ちてくる。 万物は一を得て生きることができ、王も一を得て天下を治める。 すべてのものは一を得て成り立つ。 天は、清らかさをなくせば、おそらく裂けてしまうだろう。 地は、固まることなければ、割れてしまうだろう。 神は、霊性がなければ、力を失うであろう。 谷は、満ちることなければ、渇いてしまうだろう。 万物は、生命がなければ、消えてしまうだろう。 王は、天下を治めることができなければ、国家は倒れてしまうだろう。 ゆえに貴は、賤があってこそ貴であり、高さは低さがあってこその高 さである。 これをわきまえている王は、自分のことをへりくだって言う。 これは王が自ら貴い者であろうとするために、賤が本であることを知っ いるからではなかろうか。 ゆえにいかに多くのことを興したか数えても、国を興したことにはなら ない。 光り輝く宝石も、その実体は、固い石ころにすぎない。 陰陽は一体となって、万物の存在を支えている。 その一方だけでは、存在しない。 人も長所があれば短所がある。 人生も楽があれば苦もある。 短所があるから自分は完璧ではないと思うのは間違い。 苦労があるから人生を不幸だと思うのも間違い。 長所と短所があるから完璧な人間なのであり、苦労や不幸があるから完璧 な人生なのである。 私たち人間は、この世に生まれたときから、完璧な人間なのだ。 そんなことを教えているんだと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.11.24 16:14:31
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