新潟県武術連盟ホームページ

しばらくぶりに「願立剣術物語」を眺めている。

「玉のきよくという事」のページで目が止まった。

「像玉のごとし。少しも留まる事なし」

人間の形がボールのように丸くなることはない。
しかし、例えば、相手がこちらに接触して、押した分だけ引かれれば、なんの抵抗も感じない。
引いた分だけ押されても抵抗感はない。

ただ、手で押したときに玉を押したかのように自分の手が丸く動かされてしまうとしたら・・・。

上から押せば、向こう側の下へ、横から押せば、半円を描いて向こう側の横に・・・。
いずれにしても押せば押すほど重心を崩されてしまう。
または、引いた時に押しつぶされそうになってしまう。
手前に引けば、下へつぶされそうになり、横へ引けば、向こうの側面が押してくる。
上に引けば下がせりあがってきて浮いてしまう。

こうなれば、自分はボールを相手にしていることにならないだろうか？
相手は人間の形をしているのに、こちらが押したり引いたりすると、ボールを押したり引いたりしたようになる。

相手は押した分だけ、こちらの別の部分が押してくる。
引いた分だけ、こちらの別の部分が押してくる。
どこを押しても、どこを引いても押されてしまう。しかも崩されながら・・・・。
そのうちに押しつぶされてしまう。
ボールの下敷きになってしまう。

相手が速ければ、速く下敷きになり、相手が遅ければ遅く下敷きになる。
全ては相手次第。
こちらは意図的に急ぐこともなく、わざと遅くするのでもない。

相手が速く動いているのに合わせるのでもなく、遅く動いているのに合わせるのでもない。
相手が、そう動くから、自動的にそうなるというだけのこと。

ここを間違えると、自分のボールに角ができる。
その角を狙って攻撃されれば、こちらは負けてしまうだろう。

この項目はそんなふうに解釈している。