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カテゴリ:エッセイ
次の日曜日、道場で伊藤先生に報告した。 「先生、おかげ様で会長の貴重なお話を聞いてきました。」 「そっかそっか、そんでお話だけだなく、道場で稽古してきたか?」 「いえ、稽古はしませんでしたが、今年の正月に武当山に行ってきたときのお話をしていただきました。」 「はあ?稽古は?」 「今回はお話だけでした。」 「ばっか、道場に入れてもらえなかったか?」 「はい。」 「奥さんに道場で稽古させてくれって言っておいたてがんに・・・・。」 「よし、おれ、今、また電話してやるわ。」 先生は半ば切れ気味で本部に電話をかけた。 「あ、どうも、新潟の伊藤でございます~。この度はうちの若い子がお世話になりまして、会長おられますか?」 「あ、今稽古中ですか。奥さん、あのぅ今度私んとこの弟子が行きましたら、道場の方で稽古させていただきたいんですけどよろしいですか?もう基本はばっちりできてますんで、みなさんの足手まといにはならないと思いますからよろしくお願いします。」 「あ、はい、はい。ではくれぐれも会長によろしくお伝えください。」 先生が電話を終えて戻ってきた。 「よし、おにいちゃん今度こそ道場で稽古できるからね。おにいちゃんならどこにだしても恥ずかしくねえわ。自信もって行ってこい。N君も行ったっていいんだよ。君らが行けば、本部の連中だってぶったまげるわ。おれが言ってんだから間違いねえ。」 先生にそう言ってもらえると、次に行くのが楽しみになってきた。 「Nさんも、都合が良かったら一緒に東京いきませんか?」 N師範を誘ってみた。 「あ、いいっすねえ。でもその前にいろいろ調べることがあるから・・・・・。」 「えっ?何を調べるんですか?」 「いや、まあ、色々と・・・・。」 なんだかよくわからないので、「じゃ、都合がよくなったら是非いっしょに行きましょう!」 「わかりました。行けるようになったら・・・っすね。」 なんだか歯切れの悪いN師範の返事だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.03.22 18:54:33
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