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カテゴリ:エッセイ
道は常に無名にして純朴だ。
それが扱いやすく見えたとしても、自分の都合のいいように使えるものではない。 君主がこの道理をわきまえて国を治めれば、国民は安心して暮らすことができる。 天地は循環し、その恩恵は注がれ、国民は命令されることなく平和に暮らす。 人はどんなものにも名前をつける。 しかし、そこにある名の有るものが、永遠にその名前で居続けることはできない。 どんなものでも無に帰っていくからだ。 道が天下に存在させているものは、谷川の水が海に帰っていくように、名のあるものから「名の無いもの」へと帰っていく。 そしてまた、名の有るものとして帰ってくる。 この働きを司っているのが道という名もなきものだ。 おろかな君主は天下を欲し、自分の名声を欲しがる。 しかし、たかが人間ごときが、このおおいなる働きを手中にすることなどできない。 名誉ある君主であろうとなんだろうと、道が将棋に使う駒のひとつにすぎない。 その駒の表には「有」とあり、その裏には「無」と書いてある。 道がころあいを見て、駒を「有」から「無」へひっくり返せば、名誉ある王の名前などひとたまりもないのさ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.08.11 09:29:47
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