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酔生夢死

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書籍 道尾 秀介

2007年11月30日
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カテゴリ:書籍 道尾 秀介

向日葵の咲かない夏

[物語]
夏休みを控えたある日

主人公ミチオはイジメられ不登校となったS君の家にプリントを届ける役を命じられる

しかし、S君の家で彼を迎えたのはS君の首吊り死体だった・・・

慌てて学校へ戻ったミチオだったが、その後の捜査では自殺の痕跡はあるものの肝心のS君の死体だけが忽然と消えていた

そして、ミチオの元にはS君を"名乗る"蜘蛛が事件の究明を求めて訪ねて来る


[観想的なもの]
背の目」「骸の爪」の道尾秀介

代表作である「背の目」シリーズ同様、作家道尾秀介自身が主人公かと思いきや今回の「ミチオ」は名前のほうの道夫らしい。どうでもいいことだが

「背の目」シリーズが京極夏彦の劣化コピーなら、今回の「向日葵の咲かない夏」はさしあたり乙一のコピーか?

主人公が子供である点や、深刻なイジメもしくは周りとコミュニケーションが取れないことを悩んでいる、「死」との距離感などが否応なく「黒乙一」を想起させる

それでいて出来は如何なのかといえば、最悪

この作家の特質として伏線が多いことがあげられるが、今回もあれこれ用意してあることはわかるのだが、伏線を張っといて使わなかったり、何度もどんでん返しをしているうちに、前半の前提部分の維持すら放棄してしまったり、正直何でもありになってしまっている

少なくとも「背の目」シリーズではこんな雑な作り方ではなかったはずだが。

本家乙一でも人とは呼べないようなものが跋扈したり、悪趣味な犯人による身勝手な犯行とかも扱ってはいたが、結果としてはきっちりとまとめてくる

しかるにこの作品は最後になればなるほど論理が破綻し、最終的には主人公自身が何者なのか、正気なのか狂気なのかすら判然としない

謎解きのほうもいくつか確定的なところまで詰めながら、結局は次々とどんでん返しが起きる

それ自体は大歓迎。しかし、それであれば最後の結論が一番説得力を持つべきだと思う

それなのにかなりのゆるさで流されてしまった感が否めない、っていうか探偵役である主人公は最初から結論に達していた可能性が高い

それなのに紆余曲折したように見せるために回り道しました、って感じが透けて見えて感じが悪い

正直これが「本格ミステリ大賞」の候補作になったってだけで不可思議である


















最終更新日  2007年11月30日 21時19分59秒
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2007年04月21日
カテゴリ:書籍 道尾 秀介


[登場人物]
真備 庄介・・・真備霊現象探求所所長。霊現象の研究者?
道尾 秀介・・・作家。真備の学生時代からの友人
北見 凛 ・・・真備の助手

六代目松月・・・「瑞祥房」房主
野方 摩耶・・・「瑞祥房」の仏師
唐間木・・・「瑞祥房」の庭師
魏沢良治、岡嶋聡一、鳥居伸太・・・「瑞祥房」仏師
韮澤隆三・・・20年前「瑞祥房」から失踪した仏師

慈庵住職・・・瑞祥寺住職


[物語]
前作「背の目」事件から10か月。作家道尾秀介は親族の結婚式に出席するため滋賀県大津へ出向いていた。

結婚式を終えた秀介は、近くにある有名な仏像の工房「瑞祥房」を訪ねる。

夜中に目がさめ、カメラを工房忘れたことに気がついた秀介は、工房に忍び込むが、何者かの気配を感じ、笑う千手観音を見る。

怖くなった秀介は逃げ出し、途中「マリ・・」と繰り返しつぶやく声を聞く。

翌朝、仏師の一人が失踪し、「マリ」について尋ねた秀介も理不尽に追い出される。

秀介は東京に戻り、霊能力探求所を営む友人・真備庄介に助けを求める。

事件の発端は20年前の仏師の失踪にあることを突き止めた庄介たちの謎解きが始まる。


[観想的なもの]
「背の目」に続く、道尾秀介シリーズの第二弾。

かなり特徴のある作風。ミステリといわれる作品に張られている伏線は5個くらいだったりするのだが、この人の場合は10も20も用意していて後半にそれを怒涛のように解き明かしていくので、その爽快感がたまらない。

一方で、ミステリとしてはやや邪道で、犯人捜しの手がかりとして固めた情報をあっさり反故にする手法が続いている。

(犯人が繰り返し虚言を吐いたり、性別・血液型等さりげなく置かれるヒントが後々になってひっくり返されたり)

そのために伏線が張られていることもあり、一応の対処はしているものの、少々アンフェアであることは否めない。

今回は仏像蘊蓄に走り、ホラーとしてのウェイトを高めた反面、霊現象を探究するという前作のスタンスは放棄した模様。

最後の謎解きに憑き物落としの手法を用いた所は前作同様だが、亡き妻との邂逅を果たすというこの作品のテーマには近づけなかったのでは。


人物描写    ★★★★☆
物語      ★★★☆☆
技術      ★★★★★★
インパクト   ★★★★☆
総合      ★★★★☆









最終更新日  2007年04月21日 10時54分41秒
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2007年04月15日
カテゴリ:書籍 道尾 秀介


[登場人物]
真備 庄介・・・真備霊現象探求所所長。霊現象の研究者?
道尾 秀介・・・作家。真備の学生時代からの友人
北見 凛 ・・・真備の助手

歌川 春芳・・・旅館あきよし荘の主人
糠沢 耕一・・・神隠し事件の第一の被害者


[物語]
東京で作家をしている道尾秀介は、湯治がてら福島県の白峠を訪れる。

唯一の観光名所である白早川の滝を見物に行った秀介は、幻聴を聴き、怖くなって東京へ逃げ帰る。

レエ・・・オグロアラダ・・・ロゴ

偶然にも、その滝はかつて少年が殺害され、その首が流れ着いた現場だった・・・。


自らの体験を相談すべく、霊現象に詳しい友人・真備を訪ねた秀介だったが、真備も白峠近辺に不思議な現象が起こっていることを突き止める。

1年半前に糠沢少年が殺害されて以来、連続して3人の少年が行方不明になっていること

白峠近辺で「背の目」が写りこむ心霊写真らしきものが複数撮られ、しかも、背の目が写っている人物は、その後、自殺していること

事件に霊現象の予兆を感じ取った真備は、霊現象を確認すべく白峠に乗り込む。


はたして、秀介の幻聴の正体とは?

「背の目」の正体とは?


[観想的なもの]
第五回ホラー・サスペンス賞・特別賞受賞作

選者・綾辻行人の講評にもあるが、京極夏彦の京極堂シリーズの匂いがぷんぷんし、それ故に期待度も高い作品。

文章もそれなりに巧く、特に後半部分は次々と伏線が絡み合い、一気に読めた。

京極堂シリーズが、妖怪をテーマにし、その来歴と事件とをリンクさせていく手法を使いながら、あくまで現実世界で事件が完結するのに対し、今作は、主人公真備が霊現象といわれるもののうち、科学的に実証できるものは科学的に解釈ながら、本物の霊現象もあってほしいと渇望するスタンスそのままに、中途半端に霊現象を肯定してしまう。

あくまでロジックに犯人捜しをしていくミステリの部分と科学的に証明できそうもないからとりあえず霊現象を肯定してしまう歯がゆさ。

この辺の整理をしておかないと、たとえば密室殺人の捜査をした挙句に、霊が壁をすり抜けて殺人をしましたとか、空を飛びましたとか、時空を超えましたとかそもそもの推理小説の前提すらぶち壊しかねない。

京極堂も実は、結構あやしいものだが、あちらは「この世の中に不思議な事など何もないのだよ。」のスタンスで一応、すべてロジックの範囲内に収まるよう図られている。

ほかに、単行本版には、ホラー・サスペンス大賞の選者による講評が載せられている。

大賞ほか最終選考に残った3作品について、それぞれの選者による講評が載っているのだが、これが結構イカス

手放しでほめられているのは辛うじて大賞だけ。ほかは特別賞の今作でさえ、冗長だとか空回り感が強い文章とかぼろくそでした。

ほかの作品についても同様に、辛辣なコメントが寄せられており、識者はこう読むのかととても参考になりました。


人物描写    ★★★☆☆
物語      ★★★★☆
技術      ★★★☆☆
インパクト   ★★★★☆
総合      ★★★★☆







最終更新日  2007年04月15日 22時00分07秒
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