ジョゼと虎と魚たち
作者 → 田辺聖子この作品は、はじめに映画を見てよかったので、本屋に並んでいるところを迷わずGet!てっきり長編作品だと思い込んでいたのに、実は「ジョゼ…」はこの本の中の一編なのだ。短編作品を2時間の映画に紡ぎ上げるなんて正直すごい!物語は、足に障害を負っているクミ子(ジョゼ)と恒夫の新婚旅行?をメインとしながらその馴初め等がちりばめられるロードムービー風な作品。この二人の力関係は何の弱みがあるわけでもないのに圧倒的にジョゼが上。韓国の「猟奇的な彼女」を髣髴とさせる。ジョゼの関西弁が心地よく、ぼろくそに言われても、あまりに身勝手なので突き抜けて怒る気にもならない。恒夫には気の毒だけど、傍で見ているととても微笑ましい。映画では、少し不自然に池脇千鶴演じるジョゼが脱ぐシーンがあるけど、これは原作を読んでみて合点がいった。ジョゼと虎と魚たちに収録されている作品はことごとく大人の男と女の物語なのである。もしかしたら田辺作品は概ねそうなのかもしれない。官能小説と呼ばれるジャンルと比べれば爽やかな印象があるけどね。[収録作品]お茶が熱くてのめませんうすうす知ってた恋の棺それだけのこと荷造りはもうすませていけどられてジョゼと虎と魚たち男たちはマフィンが嫌い雪の降るまでね!タイトルを眺めるだけで爽やかなって感じでしょ