2018/10/19(金)00:02
「世界の食料問題をどうみるか」
今日は、西南学院大学経済学部提供講座の日。
バスが渋滞で遅れてヒヤヒヤしましたが、何とか間に合いました。
「世界の食料問題をどう見るか」 経済学部国際経済学科教授 本間正義先生
「食料」と「食糧」の違いについて、説明。
あまり意識してませんでしたが、この違いは知っておくべきですね。
「食料」・・・食べ物全般
「食糧」・・・穀物など主食になる食べもの
「もし先進国でハンバーガーを1人週1個節約したら・・・」の説明。
そこで驚いたのは、肉類1㎏の生産に使われる穀物量。
牛肉1㎏ → 穀物8㎏
鶏肉1㎏ → 穀物2㎏
豚肉1㎏ → 穀物4㎏
スーパーなどで、肉売り場に並ぶたくさんの肉・・・
消費された穀物量に換算すると、驚きですよね。
大昔狩猟生活で生活していた時代の人口は、1千万人でした。
つまり、地球が養える人口は、1千万人ぐらいなのです。
狩猟生活から定住農業になり、必要以上に食料を供給可能になりました。
それと共に、人口増加が始まり、今に至っています。
人間1人が日常生活を行うために最低限必要なエネルギーは、1日1800kcal・・・
栄養不足の原因はいろいろありますが、大きな原因は「貧困」
栄養状態が悪いと、食べても栄養が十分吸収されません。
下痢・寄生虫・発熱などになりやすい衛生状態の悪さも、栄養不足の一因です。
衛生状態を改善するための設備や人々への教育も不可欠です。
世界の人々の栄養状態は、少しずつ改善されています。
特に東南アジア・東アジアは、劇的に改善されました。
しかし、サブサハラ(アフリカ南部)や南アジアは、あまり改善されていません。
これは、食料不足を解決するために、あまり力を入れていない国があることも一因。
発展途上国は、農作物を運ぶためのインフラが整備されていません。
農業に従事する人口は多く、保護政策を行うと、コストがかかります。
教育水準も低く、政治力は弱いのが現状です。
一方工業に従事する人は少なく、保護政策に必要なコストが少なくて済みます。
また教育水準は高く、政治力は高い・・・
ここで興味深い話をされました。
大きくなり過ぎた組織は、組織力が低くなるそうです。
それは「帰属意識」が低くなり、「組織のため」より「自分のため」に働くようになるため。
小さいほど「結束力」が大きくなるそうです。(小さすぎるとそうはいきませんが)
国際協力についても、いろいろ教えていただきました。
ここで注目は、「食料現物による現物援助はしないこと」
これは、世界の食料市場を乱す原因になるから。
たとえば、A国に日本のコメを援助物資として渡します。
A国は、いつもはタイ米を購入していましたが、その必要がなくなりました。
そのため、タイはコメの輸出量が減り、経済活動が低下・・・
そのため、食糧援助は、食料を購入するための資金援助を行います。
そうすれば、A国は安いタイ米をたくさん購入でき、食料不足が改善。
国際協力となると、たくさんの「気使い」が必要なことを教えていただきました。
2100年に世界人口は、100億人だと推測されています。
世界全体でみると、その人口を養うだけの食料は確保できると言われています。
しかし地域によるかたよりが、解決されているかは疑問です。
最後に、日本の有事(戦争など)の際の食料安全保障についてのお話がありました。
自給率100%の食事(2020kcal)を、北海道大学の学生が実践してみたそうです。
・朝食 ご飯1杯 粉ふき芋 ぬか漬け
・昼食 焼き芋2本 ふかし芋個 リンゴ1片
・夕食 ご飯1杯 焼き芋1本 焼き魚1切
+
2日毎にうどん、味噌汁
3日毎に納豆2個
6日毎に牛乳1杯
7日毎に卵1個
9日毎に肉1食
1週間で、学生たちは嫌になってきたそうです。
そこで栄養士さんがアドバイス。
調理法を工夫し、油を使用(炒めるなど)することで、3週間の実験は終無事終了。
参加した学生さんたちは、終了後には見事な健康体になったそうです。
幅広い内容のお話を、様々な角度からわかりやすい言葉で教えていただきました。
また、生徒一人一人にしっかり伝えようという熱意を、強く感じました。
時間を超過しても、質問に丁寧にわかりやすく答えてくださってました。
牛肉を生産するために、8倍もの穀物が消費されていることは驚きでした。
先進国のために、発展途上国の人たちが犠牲になっているように感じ、申し訳なさも感じました。
また、北海道大学の実験で、終了後に見事な健康体になったという事実。
やはり私たちは、「食べ過ぎ」と言うことなんですね~
「経済」を知ると、世界の現状が見えてくる・・・
そう感じられる、有意義な時間でした。