《第13話》 【札幌にて】(9)
【第9章】------------------------------------------------------------ さて、大変だ。だれかが来るかもしれないところに、彼女を泊めるという危険な状態になってしまった。 フェンスは鍵をかけたし、建物と待機室も鍵をかけたのだから、とりあえずこの待機室にいてもらえば、安全だろう。 クウは仮眠ベッドで眠っている、昨夜は眠れなかったんだろう。早い時間から安心しきった柔らかい顔ですやすや眠っている。 本当なら、職場にしかも夜来るやつがあるかとしかりつけて、追い返してもよかったんだけど…寝顔見てたら、オレもクウを部屋にひとりにしてなくてよかったなんて思えてきた。 巡回の時間だ。クウを起こして眠そうな顔に言う。「これから巡回に行ってくるからな。15分ほどで戻る。この部屋は鍵を閉めてくから、誰かが来てノックしても絶対に開けるなよ。万が一、合鍵で入ってくる奴がいたら、大声で叫べ。オレは聞こえる範囲のところにいるはずだから、すぐに戻ってくる。いいな。わかったな」クウは「ふぅん。わかった」眠そうに言う。 状況とオレの言ったことが理解できたんだろうか。意外と静かなところと安心してるのか、オレを信頼してるのか。オレとしては、その両方がいいな。