|
カテゴリ:小説
自分のお題で初挑戦。
お題は前回のブログにあります。 ---- 朽木三朗=マッド・クッキー 稼業は傭兵。 死神クッキーとも人は言う。 今回の依頼は暗殺。 依頼者とは、俺が指定した店で会う。 日本で使うのはここ。 佃島の甘味どころ[吉兆] 誰も傭兵稼業の打ち合わせ場所とは思えないからだ。 それにここの饅頭は世界的に評価が高い。 俺の好物でもある。 依頼者はヒロシと名乗った。 名前にも詳しい経緯にも興味は無い。 だが… 依頼者は勝手に喋り続けた。話が長い。 「…でした。なのに、浮気はしないと言っていた彼女の部屋に行くと必ず便座が上がっています。ボクは裏切られた!!」 わかった。 とだけ言って俺は話に蹴りをつけた。 俺は依頼を受けた時、この店の饅頭を送らせる。緊急用のメッセージを込めた饅頭だ。 それに気づいた奴には、依頼キャンセルを俺に連絡できる暗号だ。 但し報酬は倍になるがな。 今回は$で10万。さて、倍になるかな? と 俺は皮肉に独り笑った。 数日後、的の調査を終えた俺は、割り出した狙撃ポイントに立っていた。 的のホテルがよく見える、1km離れた高層ビルの屋上。 時間前に愛用のステファーSSGをコンクリートの縁にセットし、風を読む。 腹這いでサイトを覗く。 あと5分で的の部屋の電話がなる。 俺の仕込みだ。それを待つだけだ。 予定通り、風は凪いだ。風速0。 ホテルのベッドサイドの電話がなる。 俺は的の女の唇をサイト越しに見据えた。 唇の動きで話は手に取るように判る。 実は依頼者に電話をさせた。 このシナリオの別れ話をしろ。 と。 その結果次第で俺はトリガーを弾く。 どうやらうまく話ているようだ。 女の頬が紅潮し唇が震えはじめる。 そして 「イッヒ・リーベ・ディッヒ愛しているわ! 」 そう動いた。 俺はそれを見てサイトを広角にし1分待った。 依頼者の最終決定をだ。 トリガーの指は半絞りのままだ。 ふいに、ホテルの隣のビルにある、スクリーンが株価ニュースを消して切り替わった。 俺はトリガーを放し、そして独り ニヤリと笑みをこぼした。 上々だ。 依頼者の女に対する不信感は解け、俺は殺しをせずに報酬は倍。 OKだ。 SSGを分解する俺の目の端に映るスクリーンには、おわかりだろう。 キャンセルの暗号。 饅頭怖い の文字が、今も点滅を繰り返している。 了 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[小説] カテゴリの最新記事
おお、やったね。
リクエストフィクションの面白さがわかってきたんじゃない? 書き終えたあとになんだか知らない満足感と言うか、 達成感みたいのない? 今度は俺がお題を出しますよ。 ボンバルディア、シンクロナイズド剣道、飯島愛の代役にドクター中松 とりあえず、難しめの3つほどで。 あと、俺にも簡単そうなの下さい。 (2007/03/21 11:03:23 AM)
普通のお題でも難しいのに、これはレベル高いですよ。
そりゃあ苦労します。 (2007/03/21 02:19:26 PM) |