テーマ:詩&物語の或る風景(1048)
カテゴリ:食べ物あれこれ
ここしばらく、愛用している塩がある。 藻塩は、ホンダワラという海藻に何度も海水を含ませて乾燥し、 それを焼いた灰をさらに煮詰めてつくる天然塩だ。 塩づくりの歴史を遡ると、古事記に登場する塩土翁(しおつちのおじ)が祖となる。 その塩土翁は神格化され、今は塩竈明神として各地の塩(竈)釜神社に祀られる。 余談だけど、塩釜神社の総本社は宮城県塩竈市の塩竈神社だそうだ。 塩づくりに話を戻そう... 古代の塩づくりは、海水を直接煮詰めたと考えられていて、 浜を利用した塩づくりで、藻塩がつくられるようになったのは奈良時代のこと。 藤原定家が恋歌を詠んだ時代、藻塩はバリバリの全盛期だったようだ。 安土桃山頃になると、塩田を利用する揚げ浜方式という方法で、 塩田に海水を撒いて結晶が付着した砂を集め、その濃い塩水を炊いてつくった。 その後、塩田は進化して、水門を利用した入り浜方式へと発展し、 この効率的な塩づくりは、以後三百年間続いたそうだ。 また、明治38年、日露戦争の戦費調達というキレイな表向きの名目で、 海外から流入する安価な塩の締め出しを図って、塩は専売品となり、 専売制度は平成9年まで続けられた。(ほぼ若い人は知らない...笑) 日本の塩づくりの技術はさらに進化する... 昭和30年頃、省スペースで高効率な枝条流下式が考案されたが、 何故か突然、1971年に塩業近代化措置法という悪法(?)が施行され、 以降、1997年までの間、海水から製塩することは禁止される。(謎...) こうして、日本の伝統製法は一時完全に廃れてしまう。 伝統的な天然の有機ミネラル塩にとっては、まさに暗黒時代だった。 現在、塩は自由化され、製造、輸入、販売についても自由にできる。 そして、姿を消していた伝統製法は再び各地で復活し出回るようになった。 塩は、母なる海から進化した生命体にとって不可欠な栄養素。 とはいえ、くれぐれも摂り過ぎにだけは注意しよう...な。(笑) さて、新鮮な鰹のタタキはレモンをキュッと絞り、粗塩で食べると格別美味い。 今、ちょうど初鰹の季節だから高知へ行こう~♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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