テーマ:歴史の探索(130)
カテゴリ:歴史よもやま話
人は、人生という一瞬の未来は見られても、
壮大な過去を知ることはない。 織田信長に関する文献は、数多く伝えられる。 しかし大半は、後の権力者に上書きされた記録で、 正史は今も眠り続けている。
「火花」に続いて、読んだのは「信長の城」。 この本は、時代小説のような娯楽本ではなく、 発掘成果に基づく歴史考証だ。 幼少の頃から、信長には関心があった。 歴史というより、人物としての信長に惹かれた。 信長に関する本は、これまで何冊か読みあさり、 太田牛一が記した「信長公記」に至っては、 七回ほど読み返した。 私見だが、信長はうつけ者でも魔王でもない。 混沌とした戦乱の世に、新秩序をもたらし、 時代をコーディネートしようとした先駆者だった。 宣教師フロイスに、自らを第六天魔王に喩え、 政治信条を指し示した御仁だ。 Black jokeも只者ではない。 戦い方を根本的に変えた鉄砲の活用。 戦略と、雇用にも貢献した兵農分離。 日本初の政策スローガン、天下布武。 キリスト教布教の容認。 関所の廃止と流通の効率化。 経済政策としての楽市楽座。 身分にこだわらない人材登用。 慣習にこだわらない合理主義。 独創的ランドマーク、安土城。 他にも、石垣造りの城や城下町という概念も、 信長からはじまった。 あの時代、これほど斬新な発想を持った人物が、 他に誰かいたであろうか。 当時の誰より早く、人、物、金の本質を捉え、 百年先を見つめた信長には、興味が尽きない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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