ないものねだり

2015/10/14(水)14:25

溝蕎麦の花

理屈っぽい時間・・・(38)

溝蕎麦は、蕎麦屋の屋号ではない。 蕎麦とつくと、つい食欲を刺激されるが、 頑張ってこねたとしても、蕎麦にはならない。 水際など、湿地に群れ咲く野草のことだ。 溝蕎麦(ミゾソバ)は、タデ科イヌタデ属の植物。 学名では、Polygonum thunbergiiというらしい。 溝蕎麦は、昔の風流人も題材にしなかったようで、 和歌にも俳句にも、詠まれた形跡はない。 そもそも、食用蕎麦の伝来は奈良時代以前だという。 教養のある都人が、蕎麦を知らぬハズはない。 蕎麦に似た、この花を放っておくハズはないが、 なのに、和歌に詠まなかった訳は何であろう。 あの、臭くて嫌われ者の"ヘクソカズラ"ですら、 和歌には登場するのだ。 好きも嫌いもなく、ただ興味がなかったに違いない。 この花が、少しばかり不憫に思えてくる。 日本では、北海道から九州まで生息して、 かなり活動範囲が広いことが窺える。 いつ頃、溝蕎麦と名づけられたのだろう。 溝蕎麦に問うても返答はない。 答えられても、逆に怖い...(霊?) 撮影に足を踏み入れると、小さな棘が厄介だ。 痛くはないが、足を捕られてかなり鬱陶しい。 歌に詠まれぬ理由は、こんなところかも知れない。 などと、書いているうちに、 温かい蕎麦が恋しくなったではないか。 但馬地方は、そろそろ新蕎麦が味わえる時期。 週末は、出石辺りで蕎麦など食すとしよう。

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