2015/10/14(水)14:25
溝蕎麦の花
溝蕎麦は、蕎麦屋の屋号ではない。
蕎麦とつくと、つい食欲を刺激されるが、
頑張ってこねたとしても、蕎麦にはならない。
水際など、湿地に群れ咲く野草のことだ。
溝蕎麦(ミゾソバ)は、タデ科イヌタデ属の植物。
学名では、Polygonum thunbergiiというらしい。
溝蕎麦は、昔の風流人も題材にしなかったようで、
和歌にも俳句にも、詠まれた形跡はない。
そもそも、食用蕎麦の伝来は奈良時代以前だという。
教養のある都人が、蕎麦を知らぬハズはない。
蕎麦に似た、この花を放っておくハズはないが、
なのに、和歌に詠まなかった訳は何であろう。
あの、臭くて嫌われ者の"ヘクソカズラ"ですら、
和歌には登場するのだ。
好きも嫌いもなく、ただ興味がなかったに違いない。
この花が、少しばかり不憫に思えてくる。
日本では、北海道から九州まで生息して、
かなり活動範囲が広いことが窺える。
いつ頃、溝蕎麦と名づけられたのだろう。
溝蕎麦に問うても返答はない。
答えられても、逆に怖い...(霊?)
撮影に足を踏み入れると、小さな棘が厄介だ。
痛くはないが、足を捕られてかなり鬱陶しい。
歌に詠まれぬ理由は、こんなところかも知れない。
などと、書いているうちに、
温かい蕎麦が恋しくなったではないか。
但馬地方は、そろそろ新蕎麦が味わえる時期。
週末は、出石辺りで蕎麦など食すとしよう。