ないものねだり

2015/11/25(水)13:22

唐綿とカラスとアポロン

砂的博物誌(111)

唐綿(とうわた)は、熱帯アメリカ原産で幕末頃に渡来した。 かつて、先住民は甘味料や医薬として利用したというが、 強心作用が強く、生薬としては危険な部類となる。 学名はAsclepias curassavicaとあり、 ギリシャ神話の医神アスクレピオースの名にちなむ。 英名・園芸名でも、同じくアスクレピアスと呼ばれる。 医神アスクレーピオスは、アポロンとコローニスの息子だ。 話は前後するが、その昔、カラスの羽根は純白だったという。 コローニスと恋仲だったアポロンは、一羽のカラスを遣いとして、 二人の連絡役にしていた。 あるとき、カラスがアポロンにコローニスの浮気をチクったため、 嫉妬に狂ったアポロンは、コローニスを矢で射殺してしまう。 コローニスは、死に際に身ごもっていることを告げた。 その直後、カラスの報告は早とちりだったことが判り、 アポロンは、カラスから言葉を奪い羽根を真っ黒に変えた。 アポロンは、絶命したコローニスの胎内から赤子を救い出し、 赤子の養育を、ケンタウロスの賢者ケイレーンに頼んだ。 その子が、後に医学の神となるアスクレピオースだ。 さてさて、カラス座という星座をご存知だろうか。 夜空の彼方、カラス座のすぐ傍にはコップ座がある。 幾ら、カラスが水を欲してもコップには届かない。 アポロンは、かなりドSでしつこい神である。 アポロンとコローニスの恋に、水を差したカラスへの罰は、 こうして永遠に続いているのだ...

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る