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葉隠餡

葉隠餡

1回目の面会(3)


2013/05/29記載




面会の申し込みを終えて面会室らしき部屋へ通された。
本当にドラマみたいな部屋なんだなと記憶している。
透明のプラスチック板みたいなもので部屋が区切られている。
その板になんとなくそっと触ってみる。固そうな感じがした。
一度だけ軽くたたいた覚えがある。どんな音かは覚えていない。




次に記憶しているのは物音がして顔を上げた時だ。透明な板の向こう側に刑務官と私がみた事のない青いジャージのズボンを履いたMが立っていた。本当に捕まった日に履いていたジーンズしかなく、ジャージを借りているとは聞いていたが…。透明な板を1枚隔てた光景よりも青いジャージのズボンがとにかく印象に残っている。私の知らないジャージ姿。
ジャージ姿のMは透明な板を挟んで私の前に立ち、深深と頭を下げて「申し訳ない、迷惑をかけた」と言った。確かにMで間違いなかった。



刑務官が同じ部屋の隅に座っていた。何をしていたか覚えていない。記録していたかもその辺りは現在うろ覚えである。
しかし細かいニュアンスは忘れたが、内容とと雰囲気はよく覚えている。


最初に話した内容は…私がMに出した手紙(内容はMへ(手紙送付))は届いて読んでいるという事。返事は書かずとにかく会って話がしたいとの事。また、私の母にも謝罪をしたいとの事。(ハガキ1枚書ける筈ではないかとは一言だけ私から言った)


ざっと上記の事をやり取りした後、私は「離婚してほしい」と離婚届をMに見せた。差し入れについても難しい事を説明して。Mは覚悟していたのかすぐに「わかった。出たらすぐにサインをする」と同意していた。
その後、時間も限られているのでお互いの現状をMからざっと話してくれる。


弁護士との接見した事、今後の被害者への補償や裁判の件について話し合っている事。また、その過程において私の意向も聞いているとの事。
私の意向とは情状証人を断った件である。
情状証人の依頼





Mの上司であったO所長がかなり早い段階で面会に見えた事。面会については前述したが、私の仕事の都合が合わずO所長の方がかなり早く来たようである。
O所長がMに対して懲戒免職であった事を伝えに来た事。それも任意退職扱いに出来なかった事を詫びていったという。
また、現状の長野の住まいの家賃と光熱費について。これは
お人よしな上司
でも触れているが、私がO所長と話した内容と同じ事をMに約束していったそうだ。「家は私(ぢゃる)が住み続けてよい。家の家賃・水道光熱費は会社が立て替えておく。Mが出所したらMに請求する」という事でMとO所長の間で合意している事などだ。




次に私の実務的な事。
まず、今はMの会社で借りたアパートには住んでおらず、会社の寮にいる事。O所長からは私も家賃や光熱費の件は聞いているが、私としては一切関わりたくないし、離婚の意思もはっきり見せているので本来の自宅には郵便物以外は立ち寄らないと説明。現在、実家に帰るか長野に残るかわからない事を伝える。

私自身は現在Mと一緒に引っ越してきた場所には住んでおらず、会社の寮にいる事。Mの会社の上司と家賃の話は聞いている事。
私の親戚から結婚祝いが送られてきたが、一切手をつけず私の判断で送り返した事。(結婚祝金


そして、最後に。。。私の母から送られてきた結婚祝いを返してほしいと申し出た。これはMの両親からも祝い金をもらったが、お互い返すということで一致。そして、一時的に結婚祝いをMの口座に預けたので私の母からの祝い金を返して欲しい事、生活費の一部を返してほしい等話をした。
Mはその場で即座に了承し、カードの暗証番号を教えてくれた。銀行のカードは刑務官経由で渡してくれるという。




そして最後に私からMの知り合いに事実を話している事を伝える。
まず、Mの親からひっきりなしに電話が来て真相を明かした上で現在やり取りをしている事を話した。Mの親が面会に来る意思が現状なさそうな事も話した。
次に私の母にも事実を話して実家に帰省を考えてる事。Mの札幌時代の会社の同僚Mさんに一番最初の逮捕初日から相談をした事。更にはHさんに留守電を入れるつもりがYさんの留守電にメッセージを吹き込んでMの逮捕がバレた事を詫びた。



Mとしては私が長野の家にいない事、更には両親その他に自分の行為を知らせないで欲しかったようだ。私一人だけが知っていると思いたかったようであるが、覚悟もある程度していたらしい。しかし、Mの親やHさんYさんに知れた事はかなりのショックだったようだ。しかしそれについて「仕方ない」とのことであり、むしろ皆に迷惑をかけている事、私がお世話になっている事を出所したら挨拶に行きたいと言っていた。(それは一部の人に対してしか叶わなかった。私の母のところには手紙1つきていない)


Hさん→Mの札幌時代の同僚の年配の男性。最後まで色々アドバイスを頂いた。泣く前に(逮捕初日 2)
Yさん→Mの幼馴染。彼もこの事件とは関係ないが、最後まで事件を見守る1人となる。幼馴染の人


他には…Hさんの提案でMの車等一部を調べた事を伝えた。
証拠参照)
そこまで私が知った事にショックを受けたようであったが、謝罪以外は特に何もなかった。


時間内に無事、必要事項のやり取りは確認できた。
お互い元気であることも確認した。


面会時間が終了した後、刑務官がMのカードを私に渡してくれた。
そして、最後にちょっと雑談を交わしたのだが、刑務官が「失礼ですがMさんも貴方もお仕事は何か特殊な事を?」と聞かれた。いや、私は単にごく普通のサービス業でアルバイトをしていると伝えたら大変驚かれた。
どうやら大半の人は初めての面会の時は感情をあらわにするケースが多いらしい。刑務官も何かと大変なようだ。しかし私とMはひたすら淡々と話をしていたという。まるで契約か何かを淡々と話すかのように。それも順序立てて必要事項を無駄なく話している印象を受けたというのだ。



刑務官の方は「本当に大変だと思うが無理をしないで」的な事をいって階段まで見送ってくれた。




新婚1月半で旦那が下着泥棒しました。



私の見知らぬ人がこの事実を大勢知っている。取り調べの警察官、留置所の人、事務などの人、他諸々・・・。
一つ言えるのは皆優しく私に声をかけてくれた事だ。でも、皆、気の毒そうな目で私を見ていた…というのは気のせいだろうか。






警察署を出た後、私はまた長い下り坂を降りて駅へ向かった。





















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