僕から彼女に1つ 彼らから彼に2つ
(1月3日(水) 小川 みちる)「ヒメえぇぇぇぇっ!」千鶴が織姫に抱きついた。それは何時ものことなんだけど、号泣しているのを見て、たつきが殴るのを自粛していた。今日は手芸部有志の初詣なんだけど、結局何時もの面子も一緒。だって織姫が、せっかく帰って来たのに昨日は連絡つかなかったんだもの!石田さんもつかなかったけど、まさか一緒だったとは言わないよね……?たつきは町中走り回ってたんだから。「ごめん、手芸部の皆も井上さんと話したがってるから」石田さんが気まずそうに言っても千鶴は中々織姫から離れようとしなかった。参拝を終えて、みんなでお昼を食べる際になってやっと雰囲気が普通になった。千鶴の両腕を、たつきと鈴が押さえてるせいもあるだろうけど。「……先輩、出席日数大丈夫ですか?」「うーん、どうかなあ。先生に相談してみる」次期部長の長田さんはさすがに度胸がいい。あたしだって織姫が一緒に3年生になれるかどうか気になるけど、ちょっと聞けないよそんなの。「いいんですかそんないい加減な態度で」「うん、まあね」本当にいい加減な態度で、でも織姫は何処か余裕たっぷりだ。元々よくわからない子ではあったけど。「先輩って将来のこととか考えてます?」「ううん。全然」平然と答える織姫の隣で、石田さんが何か考え込んでいる。