香川県の知事公舎です。現在は主に会議スペースとして使われ、知事公舎としての役割はありませんが、約半世紀を経た今もその気品は十分に保っています。すぐに目を引くのは波型の玄関ひさしです。石と鋼製サッシでまとめられた厳格な正面の壁に対抗するように、ひさしが浮遊感をもって正面に伸びています。この波型は内部の応接室天井にも現れていて、この建物の主要なモチーフとなっています。設計者は香川県営繕課。故金子知事が中央の著名建築家を香川に招いて優れた作品を作り出していく少し前の建物なので、建築課の中で設計されたはずです。戦後、焼け野原からの復興に際して、設計事務所はまだ数少なく、香川県営繕課は、優れた作品を自らデザインし監理することのできる優秀な設計集団でした。
物件名 香川県知事公舎
所在地 高松市中央町10-18
竣工年 1955年
設計者 香川県建築課
施工者 不詳