2021/01/28(木)19:25
ベストパフォーマンス バリトン 2020
Best Opera 2020
Outstanding Performance of this year -BARITONE-
Photo: ©Shevaibra, courtesy of the artist
飯田裕之(バリトン)カルロ・ジェラール(ANCORA Andrea Chénier )「アンドレア・シェニエを見れば見るほどいつも思うのは、この作品は実はカルロ・ジェラールが主役なのだ。今回飯田裕之という表現者として類稀なる天才が演じたことでその局面が明らかになった。彼がオペラの中で成長し人間カルロ・ジェラールとして変わっていく姿を間近で観察できて瞠目であった。」また、小田原オペラ立ち上げなどの社会貢献活動、「二人会」など重心を地方に移し、コロナ禍での文化芸術の方向性を見直した。
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清水勇磨(バリトン)フォード、ヴォルフラム他(清水勇磨 バリトン・リサイタル)イタリアに留学し、ボローニャ歌劇場の研修所に在籍中のカヴァリエ・バリトン。イタリアで数々の本番をこなしている。2021年はヴォルフラム、フォードとドイツとイタリア双方のバリトン最高峰の役を与えられている。
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小林啓倫(ひろみち)(バリトン)第89回日本音楽コンクール 声楽部門【歌曲】第1位「ドイツリートのオペラティックな最高峰といえるマーラーの作品!彼のパフォーマンスはコンクールの域を超え、一つの芸術作品として完成していた。私はそこにゲルネやゲルハーヘルの領域にまで達している境地を感じた。聴いて思ったのは、コンクール関係なく、今ここで彼の入魂のマーラーを聴けただけで大変な幸せであるということだった。」
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今井俊輔(バリトン)ジェルモン(東京二期会「椿姫」)クレッシェンテ 若い演奏家の為のプロジェクト「ジェルモンはしもての花道から登場 強面 白髪は入れず 若々しく豪腕風 Nobili sensi invero! 立派なお心がけなあなたにひとつお願いしたいことが。Pura siccome un angelo すばらしい! 本当に別れろとおっしゃるの? È d'uopo! ジェルモンは後ろを向いていて上を見上げていたが振り向く(どう説得する?)È grave il sacrifizio Un dì, quando le veneri 時が経てば わざと残酷な言葉 Violetta, deh, pensateci, 神に祝福されていない 指揮者と2人のソリスティが作り上げた精細な表現がすばらしい!抱いてくださいますか ヴィオレッタはジェルモンの胸に飛び込む ジェルモンは右手を上げてヴィオレッタの背中に回そうとするが、止めて拳を握りしめる ヴィオレッタはあきらめて身を離す。二重唱アッディオ Conosca il sacrifizio ついにジェルモンは振り向きヴィオレッタの両手を握り最後はその頭を握った両手につける。ジェルモンが初めて見せた真心。パッと立ち去るジェルモン。」
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藪内俊弥(バリトン)ロドリーゴ(ミャゴラトーリ「ドン・カルロ」)「ロドリーゴの藪内さんが名唱だった!すばらしいレガートと天が与えし美声。まさに入魂の演奏で酔いました。~ 囚われているカルロの元にロドリーゴが。Per me giunto ~ O Carlo, ascolta ここがもう~最高にすばらしいロドリーゴのアリア二連発!藪内さんのお声はサイモン・キーンリーサイドを連想させる。さらに美声。そして徹底的にレガート!柴田さんの牽引も見事だがそのレガートの完璧さにもう~打ちのめされました。感動しかありません!彼はノーブルでまじめでまさに理想のロドリーゴ!」
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高橋洋介(バリトン)シモン・ボッカネグラ(NOテナー⁉ スペシャルオータムコンサート)「シモンの高橋洋介さん 数少ないヴェルディ歌いです。美声でノーブルで轟く低音がないとヴェルディバリトンとは言えません。彼は全てを持っています。」
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井出 壮志朗(バリトン)※写真左から3番目 エスカミーリョ(藤原歌劇団「カルメン」DAY1)「エスカミーヨで藤原歌劇団本公演デビューの井出さんがすばらしい!ハイバリトンの美声で歌い上げるエスカミーリョは圧倒的に美だ!まるでルドヴィク・テジエを彷彿とさせた。ビロードのような美声にコントロールも完璧で酔わせた。」
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大沼徹(バリトン)ドン・ピツァロ(東京二期会「フィデリオ」DAY3)「この深作フィデリオ、前回の深作演出ローエングリン の続きである。ローエングリン の最後ではヒットラーの登場で終わる。そして…ゴットフリートはフューラーになり、ナチスの将校がその凶々しい魂を引き継いだ。SS=Schutzstaffel(親衛隊)それがピツァーロ。長身にSSの黒い革のコートに長い黒いブーツ。アウシュヴィッツでフロレスタンと出会い宿命の輪廻が始まる。前作ローエングリン ではルートヴィヒと無理心中させられたフォン・グッデン 今回は真正の悪役。大沼徹。彼が輪廻を繰り返し悪の権化として善人たちを苦しめていくサイコスリラーw」「ピツァロはテーブルの上に長々と寝そべり、足をなまめかしく組んでポーズをとる。手袋を取り、左手の真っ赤なマニキュアを眺める。満足したようにまた手袋をする。「じゃ俺が殺るよ。」Ein Stoss」
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須藤慎吾(バリトン)リゴレット(藤原歌劇団「リゴレット」)「リゴレットが娘を探しに現れます。~リゴレットは奥の間に向けて突進するが阻止される。憤怒にかられ Cortigiani, vil razza dannata 最高音は楽譜ではG♭ 音楽がアップテンポですばらしい!奔流のようにリゴレットの怒りがほとばしる。Quella porta, assassini, m'aprite! その言葉を聞いて廷臣たちは全員剣を抜く。殺してもここは通さんというわけだ。リゴレットは突き飛ばされて床に這う。リゴレットは戦法を変える Marullo... Signore マルッロの情に訴える Tutto al mondo tal figlia è per me. Pietà, pietà, Signori, pietà すばらしい!大拍手!~リゴレットはドゥカの黒いマントをジルダにかける。 Ah! piangi, fanciulla, scorrer Fa il pianto sul mio cor リゴレットはモンテローネの復讐への思いを自分が成し遂げると誓う Sì, vendetta 復讐の鬼と化す。ジルダの取りなしももう耳に入らない。ジルダが抱きしめるドゥカの上着を奪って踏みつけにする。最後ジルダは High Es リゴレットはG# 最後まですばらしい!」
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谷友博(バリトン)ジャンニ・スキッキ(オーケストラ☆の王子様 第49回定期演奏会)
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大山大輔(バリトン)フィガ郎(野田秀樹演出『フィガロの結婚』~庭師は見た!~)※配信視聴
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加耒 徹(バリトン)バッハ《ミサ曲 ロ短調》ソリスト(BCJ)エンリーコ(日生劇場「ルチア」DAY2)「エンリーコの加耒さんも本当にすばらしかった。端正な歌いっぷりにエンリーコの酷薄さも表現。見事でした。」
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竹内利樹(バリトン)竹内利樹・小滝翔平デュオコンサート「竹内さんは「ANCORAファンタジック・ホラー ホフマン2029」に出演していて、たった一声聴いただけでそのすばらしさがわかりました。超がつくほどの美声バリトンです。声に芯があり、強靭でまさに理想のリリックバリトン。ドニゼッティとかベッリーニが似合いすぎる感じです。」
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高橋正尚(バリトン)ボトム(新国立劇場「夏の夜の夢」)「高橋正尚さんのボトム、超巨大な声のドラマテッィクバリトンで今後が楽しみだ。」「大きな肘掛椅子に座って手足をばたばたさせるボトムの可愛いことったら!~だんだん調子に乗ってくるボトム「ちらっとオラさ耳掻いてくれっかな?」タイターニアはボトムを寝かしつける。タイターニア「大好きよ、愛してるわ。」オーベロンとパック オーベロン「どんなあんばいだ?」パック「女王様はロバと恋に落ちてます。うまくいきました」」「ドン・ジョヴァンニ」
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宮本益光(バリトン)ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵(東京二期会「メリー・ウィドウ」DAY4)「宮本益光さん獅子奮迅の活躍ぶり。彼のダニロはすごく魅力的だった。素直になれない男の意地、せつない気持ちを表現してあまりあった。歌唱ではバリトンなのに超高音をファルセットで出したり自由自在。最も瞠目すべきなのは日本語歌詞の処理の仕方。レガートで歌うために不自然にならないよう音節を増やしたり、逆に話し言葉に近づけるため短く切ったり、それはそれはすごかった。彼のダニロはドン・ジョヴァンニのちょっと悪魔的部分もあってドキッとさせる。また足のステップがすごい。ダンスはお手のもので身のこなしも軽い。宮本益光さんは全てが圧巻だった!」
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岩田健志(バリトン)シルヴィオ「Gruppo NORI 〜上本門下発表会〜」修道士(KONO国際交流Presents「ドン・カルロ」)「修道士の役の岩田さん、すばらしかったです。修道士の声域設定はバスで岩田さんはハイ・バリトンですが、すばらしく響く美声で、なにしろレガートの必要なヴェルディの音楽を完全に理解し、超レガートで歌っていて見事でした。ミステリアスな表現力もなかなかでした。」サン・ブリオッシュ(東京二期会「メリー・ウィドウ」DAY4)
江原実(バリトン)モンテローネを先導する廷吏(藤原歌劇団「リゴレット」)
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大西宇宙(バリトン)アルガンテ(BCJ「リナルド」)フィガロ(オペラ紅白)
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市川宥一郎(バリトン)エスカミーリョ(藤原歌劇団「カルメン」DAY2)、カペッリオ(昭和音楽大学大学院修士課程修了オペラ公演《カプレーティ家とモンテッキ家》)「カペッリオの市川宥一郎さんはバリトンだが本当に歌も演技もすばらしい!演技も迫真で杖を突きながら足を引きずって現れるのだがその小技が板についていて、演技に迫力さを増していた。まさに彼は舞台人。足を引きずる演出に関しては岩田さんからの指示だったということ。岩田さんは彼にそのモチーフを与えて自由に演じさせたようだ。まさに申し子!」
…バリトン多すぎて終わらない予感…
ぼちぼち続く。