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中国、日本に揺さぶり FTA交渉、共同研究1年前倒し
2011年5月25日(水)08:00産経新聞 米国が主導する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の拡大交渉が進展する中、中国が日本に揺さぶりをかけ始めた。日中韓3カ国による自由貿易協定(FTA)に積極的な姿勢を示し、TPP参加を決められない日本に誘い水をちらつかせる。日本はTPPに軸足を置きつつ日中韓FTAも視野に入れる両にらみの構えだが、農業問題を抱える中、どちらの交渉からも取り残される懸念もある。 「中国が本気で日韓に市場を開くかは疑問だ」 経済産業省幹部は、22日の日中韓首脳会合でみせた中国の“心変わり”に不信感を抱いている。首脳会合では、日中韓FTA交渉の準備段階となる共同研究について1年前倒しして今年中に終えることで合意。中国が前向きな姿勢を示したことが合意につながった。 これまでも中国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)に日中韓を加えた枠組みなどを重視。だが、自国産業保護のため外資系企業の国内投資などを規制している中国が、本気で市場を開放するとみる向きはほとんどなかった。事実、中国は主要な工業国とは一切FTAを結んでいない。 それが一転、日中韓の連携に動いた背景にあるのがTPPだ。米国やオーストラリアなどTPP拡大交渉に参加する9カ国は19日の閣僚級会合で、11月までに大枠合意することで一致。世界2位の経済大国である中国を外したTPP交渉は大きく進もうとしている。 経産省幹部は「中国はTPP交渉に参加していない日韓を取り込めば、日韓が中国を重視していると国際社会にアピールできる。TPP陣営にくさびを打ち込む政治的な意味合いが大きい」と分析。同時に「各国からTPP参加の決断を求められているのに決められない日本」(政府関係者)を見透かした揺さぶりとも受け止められている。 日本では東日本大震災後、TPPで打撃を受ける農業支援の論議が事実上停止。交渉参加の判断時期を6月から11月に先送りすることを決めたばかりだ。 今のところ、日本政府はTPPを最優先としつつ日中韓FTAの研究も進める方針。両方を追求して交渉条件を優位にする思惑があるが、政府内では「農業で迷走する現状ではどちらも進められない心配もある」との冷ややかな声が漏れる。 浦田秀次郎・早稲田大学大学院教授は「TPPを意識する中国に対して、日本が積極的に経済連携を働きかけるぐらいの戦略を持つべきだ」と話している。 ☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.05.31 06:04:42
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