愛しいもの
深夜。お風呂からあがると娘の泣く声が聞こえる。急いで階段を駆け上り寝室のドアを開けると涙で頬をグショグショに濡らして目を閉じたまま、泣き叫ぶ娘の姿。抱き上げて ぎゅ・・と抱きしめる。「怖い夢でも見ているの?大丈夫、大丈夫よ・・」トントン・・トントン・・・背中を優しく、たたき続ける。私の首にしがみつく、小さな腕。「大丈夫。大丈夫よ・・大丈夫・・・」トントン・・・トン・・やがて。落ち着きを取り戻した小さな腕がトントン・・・ と私の背中を小さくたたく。 突如こみ上げる、愛しさと幸福感に 泣きそうになる。