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2004.03.26
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有吉佐和子著 新潮文庫

 昭和49年に新聞に連載されたものだというから、ざっと30年前の作品。
 「複合汚染」という題名は知っていても、ばくぜんと難しそうな気がして、手に取ったことはありませんでした。読んでみたら、小説らしからぬ、ご本人も出演してのルポを見ているような、書き方。
 最初は市川房枝氏の選挙運動の話に始まって、若き日の管直人氏も登場してきて、それはそれで面白いのですが、途中からは、有吉さん自身が精力的な取材で得られた事実をもとに、いかに私たちの自然が、食が、汚染されているかを暴いていく、そんな内容。その説明も、難しい言葉が並ぶのでなく、ご近所のご隠居さん相手の世間話を通して語られるので、ついついフンフンと聞き入ってしまうような。有吉さんの語り口のうまさでしょうか。

 それにしても。農薬や化学肥料など、「効率化」が農業をダメにし、そのツケが食の危機として私たちに回ってきている。何より、一番被害を受けているのは生産者であること。さらに、保存料などの食品添加物で腐らない、見た目のきれいさを追い求めた食べ物が出回ったこと。これは、消費者である私たちの責任もある。
 最近になって「食の安全」が言われ始めたのではないのでした。
 30年も前から警鐘は鳴らされていて。気が付いた生産者は、より自然に近い形で本物の食べ物をつくり、気が付いた消費者は生協運動などを通して生産者を応援し、安全な食べ物を購入してきたのだけれど。
 なぜ、いまだにこの問題は解決されていないのだろう。

 「日本の農村で最も荒廃しているのは農地より精神だと言う人たちがいるのだが、私は精神主義というのはややもすると妙な方向へ走りがちだから取らない。自分は変な病気になりたくないと思い、親や子や愛する者を病気にしたくないという心さえあれば、それに化学肥料や農薬が何かという正しい知識さえあれば、充分ではないだろうか」
  こうした有吉さんの言葉を、農政や食品行政をすすめる人たちに、政治家に、経済界のえらい人たちに、かみしめてほしい。  

 この本を読むきっかけになったのは熊本の公立菊池養生園の名誉園長、竹熊宜孝さんの講演。自ら体を壊してから食の大事さに気が付き、「医は農に学べ」と自治体の病院に農園をつくってしまった人。

 「『苦海浄土』を読んだ人はどのくらいいますか。じゃあ『複合汚染』は?」
  手をあげた人は数名。もちろん私も恥ずかしい思いで下を向いていました。

 ( 竹熊さんは有吉さんとも親交があり、食の安全に関する大会のときに有吉さんが熊本にかけつけて話をしてくれて、大盛況だったと。それが「複合汚染」の発表後くらいだったようです。)


 竹熊さんは、たべないのが養生なのだ、と。食べ過ぎで人々が病気になると医者はもうかる。経済を活性化させるにはそれが一番なのだ、と茶目っ気たっぷりに「説法」していました。 
 そして「いのちはどこにありますか?」と質問。その答えとしてサツマイモを皆の前に差し出して。
 食べ物は私たちの命をつくる、だから大切にしなくてはならない。ということを示してくれました。





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Last updated  2004.03.26 15:45:49


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