2015/03/07(土)12:04
話飲徒然草拾遺集~「ワインと接待の微妙な関係」
2010年5月頃に書いたネタです。「微妙な関係」のタイトルで5~6本書いていて、後になるほどこじつけがひどくなります(金魚とワインとか、切手収集とワインとか(笑))。
追々再掲してきたいと思います。
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最近レストラン業界の方から、「社用族の利用が減った」「安いワインしか注文しなくなった」というお嘆きの声を聞きます。
これは言うまでもなく、リーマンショックの後、各企業が経費削減に取り組んだ影響と思われます。ある私のワイン仲間も、接待費は1人あたり一万円まで、という内規が定められたと話していましたし、2軒目にワインバーに流れるパターンも減っているのでしょう。
ということで、あらためて「予算1万円(消費税込み)」でどの程度のワインを飲めるかを簡単にシミュレーションしてみました。以下は4人でそれなりのフレンチレストランに行き、コース料理のほかに、乾杯用の泡(1000円)を頼み、ワインを赤白2~3本注文したケースを想定しています。(100円未満切捨て)
コース/サービス料/1人あたりワイン代/1本あたりボトル代(4人で2本)/1本あたりボトル代(4人で3本)
\5,000 - \3,500 \7,000 \4,600
\5,000 10% \2,600 \5,200 \3,400
\5,500 - \3,000 \6,000 \4,000
\5,500 10% \2,100 \4,100 \2,800
\6,000 - \2,500 \5,000 \3,300
\6,000 10% \1,600 \3,200 \2,100
\7,000 - \1,500 \3,000 \2,000
\7,000 10% \600 \1,200 \800
7000円のコースを頼んでしまうと、実質ワイン代を捻出できませんね。
一方で「5000円、サービス料なし(またはコース料金に含まれる)」の店なら、1本あたり7000円のワイン代を割くことも可能です。ただし、
*7000円というのは4人で2本飲んだ場合です。酒量の多い人がいたりして、もう1本頼
めば、注文できるワインの単価は1本4600円ということになります。
*レストランのワイン価格が概ね市価の2倍(あるいはそれ以上)であることを考えると、
7000円といっても、実質的に市価3500円程度の銘柄ということになります。
*「それなりの」レストランでは、5000円のコースはボトムラインのコースであることが多
く、料理に不満が出てくる可能性もあります。
*コースにデザートと食後の飲み物が含まれない場合もあります。それらを別途注文すれ
ば、当然予算内では収まらなくなります。
*「それなりの」レストランで、サービス料のかからない店は少数派でしょう。
もちろん、ビストロなどでもっと安いコースを楽しめるところもあります。ただしその場合、今度はきちんとしたワイングラスで提供してもらえるのかとか、接待で用いるのにふさわしい店の雰囲気かといった別の問題も浮上してきそうです。
こうしてみると、社用族が遠ざかるのも理解できますね。肩身の狭い思いをして領収証を切っても、飲めるのはせいぜい裾物レベルなわけですから‥。
逆の見方をすれば、接待であるなしに関わらず、5000円でそれなりのコースを楽しめて、別途サービス料がかからず、なおかつワインの価格が市価の2倍以下のレストランを見つけられれば、ひとり1万円以下の予算で十分楽しむことができるということになります。
予算配分にメリハリをつけて、1本を極力リーズナブルなものに留めれば、もう一本はそれなりのクラスのものを注文することもできるでしょうし。
客足が遠のいているレストランの方には、ぜひそうしたリーズナブルなプランを考えていただきたいところです。
もうひとつの強力なソリューションは「BYO」(Bring Your Own)、すなわち店にワインを自分で持ち込むことです。ただし、BYOを認めていない店も多いですし、接待などでは自腹を切る話になってしまいますが。
ちなみに、私自身どうしているかといいますと、仕事の席では、相手から請われない限りワイン関連の店を利用することはまずありません。
というのも、費用面の制約に加えて、喫煙できる店や個室のある店が少ないなど、和食や中華と比べてしまうと、どうしても使い勝手の面で不利になるからです。
あとは、自分が愛好家だということが周囲に知られている手前、「公私混同」的な見られ方をされたくないとか、目の前にワインがあるとついウンチクを語りたくなってしまうということもあります。それに、なんのかんのいってもワインは自腹で飲まないと有難味が薄れてしまいますよね。
ちなみにこの写真は接待時のものではありません(笑)。