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2013年09月16日
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カテゴリ:うた
そして悲しく歌うもの

・・・

室生犀星の小景異情その2

この詩の最初の2節だけ、知っていて、続きを知ったときは、衝撃を受けました。

・・・

よしや うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや

・・・

同じ経験をした人は多いんじゃないかと思います。活字になったものを読んだこともあります。あれは故郷を恋うる歌じゃないんだ、と、解釈されていたような。

わたしは、「帰るところにあるまじや」を知ったのは高校生のときだったので、この詩に旅立ちを感じたものでした。唇をかんで前を向く少年のまなざしを思いました。帰らない、と決めて出ていく。失敗しても帰らない。帰れない。ふりむかない。

あおーい。青臭い!

今はまた違うものを思います。
この間、讃岐を歩きました。まったく地縁のないところです。
水田を眺め、彼岸花をみつけました。終わった野菜の茎をつみあげて焼いている人。
わたしのこどものころの、わたしのふるさとの風景によく似ていました。
室生犀星の小景異情その2をふと思い出しました。

ふるさとは遠きにありて思うもの
そして悲しく歌うもの

・・・いま、ふるさとに帰っても、ふるさとの風景は子供のころとは変わりました。
わたしを育ててくれた祖父母も、もういません。
墓参りにいく道で、変わったもの、変わらないものを数えて歩くようになりました。
そこはふるさとです。
けれど、もう、他所の土地の方が、ふるさとに似ています。
何かがあれば、わたしはそこに帰るでしょう。
けれど帰れない景色が二重写しで揺れて見えます。
歳月は降った。
土地の上にも、わたしの上にも。

さあ。
還暦のころ、わたしは何を思うでしょうか。






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最終更新日  2013年09月16日 09時04分51秒
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