第9地区 ウルフマン
ずっと見たくて楽しみにしていた映画、第9地区を観た。ネットでも評論家の間でもめったに低い評価を見たことがない映画ということで万人向けの映画かと思ったがそうでもなかった。中にはB級どころかC級作品の評価も下している通りすがりの評価などもある。受けつけない人はたしかにいそうだ。しかし自分にはピッタリはまる泥くさい作品。この泥臭さがなんとも心地よい。ずっと上空に浮かんでいる大型の宇宙船というのも妙に下界のスラムやスモッグなどとマッチしていて心をくすぐられる。それでいて人間の怖さ、汚さ、心の醜さ、自分勝手さも見事に描かれていた。人間、超異質なものに対してはそのものの命などまるで関係なしでカネや科学の進歩のために突き進む。これぞ人間の本質・・・なのだが一方ではそんな本質だった人間も逆の立場になって様々な痛い目に遭うと情や自己犠牲、愛にも向かうという人間、良いところも悪いところも混在している生き物感が実にストレートに解り易く表現されていた。エイリアンはバルタン星人の出来損ないのような姿かたちなのだがそれでもその子供はやはり可愛い。仕草がかわいいのだろう。そして驚くのは主人公の俳優。この人、本職はプロデューサーだとか。たまたま監督の知り合いでこれが俳優デビュー?にしてはそこらの有名高給取り俳優もびっくりの演技をしているのだ。素人がここまで演技ができるものだろうか?ここ数年で一番良かった映画である。映画好きは観たほうが良い。アバターと第9地区なら迷わず自分は第9地区派だ。アバターはやっぱりどうしても絵空事だが第9地区はリアリティ抜群、ひょっとしたらありそう。今のところ今年1番!ここ数年でも1番かな。続編ができる終わり方なので続編はできるだろう、たぶん。この映画もいろいろな映画の要素が入っている。しかしそれはアバターほどは感じなかった。一番、思い出されたのはザ・フライ。主人公がだんだんエイリアンになってゆく様はザ・フライのそれまんまであった。まるっきり姿が変わっても人間より人間臭い部分を表現するところまで。グロテスクな部分満載なのでそういったものが苦手な人はちょっと辛いかもしれないが最近はグロを避けていたらかなり見る作品が狭まってしまう感はある。嗜好がそうなのかグロも慣れてしまって俺はなんとも思わなかったが。ちなみに嫁も面白かったという感想。ウルフマンも観たがこれは最低だった。ヤマ無し、オチ無し、意味無し 映画である。今どき狼男の映画を真面目に超有名俳優を2人も使ってお金をかけて作る意味がわからない第9地区とは大違いで一体、何を表現したかったのか?デルトロとホプキンスはなぜこんな映画に出たのか?まったく意味がわからない。狼男のシーンはともかくそれ以外のシーンは眠たくて仕方が無かった。狼男の殺戮シーンや戦うシーンも前半は目にもとまらぬ速さだったのが肝心のクライマックスでは人間並みの速さ・・・えっ? だった。デルトロもホプキンスも好きな俳優なのだがこういった俳優を使ってこんなつまらない映画を作って欲しくない。間違って観てしまうじゃないかっ!こういった作品は批評家たちもきちんと低評価を与えてほしいものである。これこそ100点満点中 5点。ちなみに第9地区は 90点。