2017/12/22(金)00:16
斎場御嶽(沖縄・南城市)
琉球の城(グスク)が軍事拠点ではなく、聖域であったとされる理由の根拠に御嶽(うたき)の存在があります。
御嶽は琉球神道の神が存在する場所とされ、その琉球王国最高の聖地であるのが「斎場御嶽(せーふぁうたき)」です。
斎場御嶽碑
琉球王朝の時代は男子禁制で、琉球国王も女装して入ったそうです。
中に入ると必ず小さな教室のような部屋に入り、ビデオで様々な注意事項を与えられるようになっていました。
琉球神道に限らず、聖域に入るにあたっては、これくらいのことは当然かと思います。
御門口(うじょうぐち)
ここで一礼して出入りする人が多いのが印象的でしたが、先のビデオでは膝をついて拝礼していました。
御門口から続く石畳
ふと大学の探検部時代に訪れた西表島を思い出しました。
西表島の山中にはもちろん石畳などはなく、道ともわからないような踏み跡をたどって、延々と亜熱帯林を抜けて行きました。
石畳を抜けた先には、最初の拝所である大庫理(うふぐーい)があります。
手前の台座のような石畳が、祈りを捧げる場所です。
ところでこの日の沖縄は気温が20度を超えており、12月なのに上着はもちろんのこと、薄着の長袖でも暑いくらいでした。
それでも斎場御嶽の大庫理では、ふと涼風が吹き渡るのが不思議です。
大庫理の先にあるのが「寄満(ゆいんち)」で、琉球王朝では台所を意味しますが、世界中から交易品が集まる場所だったと解釈されています。
沖縄ではこのようなガマ(鍾乳洞の洞口)が数多く見られます。
「ひめゆり学徒」が最後に避難していた場所も、このようなガマでした。
斎場御嶽の最奥部にあるのが、聖地の中でもさらに気高い拝所である「三庫理(さんぐーい)」です。
三庫理前にある岩
三庫理の手前には、「シキヨダユル」と「アマダユル」の壷があります。
鍾乳石から滴る聖水を受ける壷です。
探検部時代、鍾乳洞の中で石筍から水滴が落ちるのを数多く見てきましたが、露天でみるのは初めてです。
三庫理にあるチョウノハナの香炉
三庫理
三庫理の空間を抜けると視界の先に太平洋が広がり、「神の島」である久高島を見ることができました。
琉球を創ったアマミキヨが天から降りて最初に創った島とされています。
私の両親ともにカトリック教徒であり、私自身もカトリック教徒です。
宗教は違えども、琉球神道の聖地である斎場御嶽を訪れると、なにか通じるものを感じました。
ユネスコ世界遺産(文化遺産)「琉球王国のグスク及び関連遺産群」