オランダは国土の大部分は埋め立て地であり、60%もが水面下で、「ダム」という地名が多いのは実に印象的です。水の被害が多く、何千人もの犠牲を出した水害が歴史の中で何度かあります。つい最近でさえも水害の被害があったようですし、温暖化による水面上昇は水害のリスクを上昇させています。
今でこそ質の高い堤防や電動のポンプのおかげで水害リスクは下がっていますが昔はどうだったのでしょうか。全停電なんてことになればどうなるのでしょうか。地球の気温変化は17世紀以前、今よりも激しかったようです。日本でも飢饉の被害が多く出た歴史があります。オランダの場合は水面上昇がより大きな問題だったのではないでしょうか。大航海時代、植民地政策の原因になったのかもしれません。
風車は水を堤防の外に排出するための重要な装置でした。そのためオランダの人は風がない日に回らない風車、つまり水を排出しない機械を見ていらいらしたのではないでしょうか。そんな歴史が遺伝子に組み込まれているのか、あまり風車が好きな人は多くないようです。今も続く水との戦いの歴史はオランダ人の深い傷として残っているのかもしれません。風車を見て喜ぶ人を見ると「いらつく」という人までいましたよ。それだけにあまり観光地化も進んでいないし、大事にされているとは感じられないのかもしれません。
日本人にとって地震や津波が恐怖の対象として今でも多くの人の心に傷を与えているのと同じかもしれません。原爆ドームや神戸震災の被害地を見てはしゃいでいる海外の人がいれば確かにあまりいい気分にはならないでしょう。