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カテゴリ:書籍・コミック
『法月綸太郎』氏の『生首に聞いてみろ』(角川書店)は、2005年版『このミステリーがすごい』で国内第1位を獲得。
法月綸太郎氏は京都大学在学中に、推理小説研究会に所属。 島田荘司氏の推薦によりデビュー。 推理作家『エラリー・クイーン』(従兄弟同士二人の合作におけるペンネーム)の影響を強く受けている作風は有名。 クイーンが発表した『国名シリーズ』では、『クイーン警視』とその息子『エラリー・クイーン探偵』が登場する。 そして、法月綸太郎氏の作品においても、『法月警視』とその息子『法月綸太郎』が探偵として活躍する。 余談だが、現在本格ミステリ作家クラブ会長である『有栖川有栖』氏も現在『国名シリーズ』を執筆中である。 『生首に聞いてみろ』は読んでいてノスタルジックな作品でした。 写真展から始まる出会い。陽気な表情をみせながら内面に何かを抱えていそうな美しい娘『川島江知佳』。 彼女の叔父でダンディーな作家川島と彼女の父で陶芸家の川島伊作は昔兄弟仲が悪かった。 しかし、半年前兄伊作がガンになったのを期に和解。現在伊作は娘をモデルに作品を制作している。 その作品ができあがると同時に伊作はアトリエで倒れてしまい、帰らぬ人となる。 あとでその作品をみた人々は驚愕する。なんと石像の首から上が切断され、何者かに持ち去られていたのだ。 複雑な家庭環境を背景に、登場人物の心の内面を丁寧に描いています。 後半綴られる人間のエゴや欲望は読んでいて肌寒いほどです。 密室のトリックに重点をおいたのではなく、『何故石像の頭部が切取られたのか。』に焦点を絞って話が進んでいきます。 作者の言葉の使い方の妙が生きて、せりふに込められた伏線があとになってすごいと思いました。 ただ、犯人逮捕があっさりしているのと、読了後にやるせない気持ちが残りました。 また、表紙の絵のおどろおどろしさと何故この題名なのかがいまいちわかりませんでした。 しかし、クイーンファンの私としては、読み応えがある1冊でした。 くわしくは、こちらです。
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最終更新日
2005年05月29日 21時48分24秒
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