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カテゴリ:あまちゃん
春子は上野駅で母・夏に電話したことは覚えていたが、内容を忘れていた。
私の考えですが、若春子にとって一番ショックだったことはこのときの母との会話であり、それがトラウマとなり自己防衛本能的に心の奥底にしまいこみ忘れていたのではないかと思います。 春子は長年「母を恨んでいた」と、勉さんから自分の旅立ちのときに大漁旗を振っていてくれたことを知ったときに語っています。 また、母が「許してけろ」と言ったとき、「私謝ってほしかったのか」とも。 あんとき「0か10か」と聞かれ、一度は許した東京行きを母は市長が来た途端寝たふりをしてうやむやにした。 駅にも見送りに来なかった。でも心のどこかで母は口に出さないだけで本当は応援してくれているのかもと一縷の望みを持っていた。 だから上野駅から電話をしたときに、帰ってもいいとの返事を期待していた。 でも、当時の若春子には夏が言葉の裏に込めた応援を感じ取ることはできず、再び自分は拒否されたと思い込み、このときに初めて故郷そして母と断絶したのではないかと思います。そしてその後一切自分からは連絡を取らず、大吉の母危篤メールに半信半疑ながらも一時帰宅を決意した。 母と和解してもなお思い出せずにいた会話の内容を、春子は「帰りたい」というアキに自分が「だめ」といったときに思い出した。 自分は親として娘には夢を追い続けて欲しい気持ちから、このまま帰ることには反対した。それに対しやだと電話を切ったアキ。 自分とアキの会話は、あの日と同じ。そして初めて夏が自分を応援していてくれた気持ちがわかった。 自分はあの日から母を恨み、過去を封印して、「違う人生もあったかも」となげやりな生き方をしてきた。 アキを自分と同じにしてはいけない。今自分がアキにできることは何か。言葉で伝えても自分のときのようにうまく伝わらないかも。 そして、春子が出した結論は、アキのそばで精神的に寄り添いながら、アキの夢を応援する。 それは春子自身が長年欲していたことかも。無意識かもしれないが、春子は自分とは違う魅力があるアキなら叶えられるかもと期待し、自分が果たせなかった夢を娘に託している。鈴鹿ひろ美、アイドルのマスターが言っていたことは本当なのでしょう。 24年ぶりに帰郷したときと同じ服装で、今度はきちんと母に「お世話になりました。長居をした」と挨拶をした春子。 「娘でもアイドルにもなっていないのに帰ってくんな」と言われたことを思い出したと夏に語った春子の笑顔は、十分夏の愛情を今は理解しているから、今度は自分がアキを応援してきますと宣言しているかのようでした。 春子には覚えていないと濁していた夏ですが、きっと覚えているのでしょう。自分でも後悔しているから春子には忘れたといったのではないかと思います。 親ばかともとれる春子の行動ですが、彼女はアキのためだけではなく、自分のために東京へ向かったと思います。 鈴鹿ひろ美、そして太巻。自分の過去と正面から向かい合い、母と和解したように過去のトラウマを解消するために。 このドラマに込められたテーマの一つは、「ヒーリング=癒し」なのではないかと私は感じています。 難病やトラウマからの開放も含めて、心と身体の健康を回復するという意味でもヒーリングという言葉が使われています。 夏は過去の自分の言動を春子に謝り、すっーとしたとお互い語っていました。 春子はまさに今、過去の自分と向き合おうとしている。 アキは解雇で昔の東京時代の言葉遣いに戻ったりしたが、これから夢に向かって進んでいくはず。 ヒロシは心身ともに成長し、もうストーブではなくなった。 そして未だ更生中のユイは母とわかりあえたら、今度こそ自分の本当の夢を実現するはずだと思っています。 ドラマに無数にちりばめられたコネタの数々には、日々思わず笑って癒される。 そして登場人物たちの癒しの過程を丁寧に見せることで、「運命」という言葉で片付けることなく、道を開くのは自分の心が大事というメッセージを私はこのドラマから感じています。 ですから、ドラマの収録時間の都合上カットされた部分などから説明不足の部分があるかもしれませんが、ドラマなのだから現実ではありえないようなことであっても、せめてドラマの中ぐらい誰も傷つかず、いい人だらけ、あまちゃんだらけでも私は十分楽しませていただいています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年07月28日 08時22分51秒
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