コントラバス演奏記

2019/10/28(月)21:54

びわこフィルハーモニーオーケストラ 第21回演奏会 (賛助出演:2019/10/27)

びわこフィルハーモニー(50)

古巣のオケに5年半ぶりにお声がけをいただきました。 在籍時には想像も出来なかったアグレッシブな選曲でしたが、大編成のオーケストラも賛助メンバーのおかげで質・量共に充実した演奏会となりました。​《​びわこフィルハーモニーオーケストラ​ 第21回演奏会》日時   2019年10月27日(日) 14:00 開演 場所   ​栗東芸術文化会館さきら​ 大ホール 指揮  川上 肇 曲目  ベートーヴェン 交響曲第8番 へ長調 作品93 ベルリオーズ 幻想交響曲 作品14 演奏曲目別の私の演奏位置と使用弓、演奏回数は以下のとおりです。 ・ベートーベン:交響曲第8番  (5回目) Bärenreiter新版譜面   4Pult中3Pult out 独弓、4弦 extendor-C ・ベルリオーズ:「幻想交響曲」 (7回目)   4Pult中3Pult out 仏弓、4弦 extendor-C (アンコール) ・ベルリオーズ:「ラコッツィ行進曲」(4回目)    4Pult中3Pult out 仏弓、4弦 extendor未使用  今回の演奏会場は、​栗東芸術文化会館さきら​ 大ホール。​滋賀医大オケ​さんは毎回こちらですが、びわこフィルさんは近年、​野洲文化ホール​とさきらの二つのホールのどちらかで公演することが慣例となっております。  さきら大ホールは約800名収容という割とコンパクトなホールですが、同日に​草津チェンバーオケ​など近隣公演など複数かぶったにもかかわらず、お客様はほぼ満員。700名を越えるご来場をいただいたようです。地元に密着したオケであることから、従来から動員力はある(野洲のホールでも溢れかけたとか・・)のですが、今回は意欲的なプログラムと言うこともあり、お客様にアピールできたのではないかと思います。  元々サイズはそんなに大きくはない、さきらの舞台。しかし今回は曲目が幻想と言うことで、弦楽器は16型相当。ステージから人がこぼれるかと思いましたが、最終的に1stVnは15人、2ndVn 14人。弦は上から15-14-13-10-8(人) と、中音域少し厚めながらも比較的バランス取れた編成となりました。これに管楽器が加わりますので、幻想では総勢94名がステージに乗ったようです。  配置はこのオケの通常並び。上手から 1st-2nd-Vc-Vaと並び、コントラバスはVc後ろの下手配置。木管楽器で雛壇2段、その上にTp+Trb/Tu、最上段に打楽器(幻想ということもあり、ティンパニが中央から上手半分を占領)、幻想の鐘は下手舞台袖という配置でした。  さきらでコントラバス8本並ぶのはかなり苦しくて、数ヶ月前のステージリハーサルの時に前列2名、中列4名、後列2名雛壇上という3列配置を検討しておりました。  最終的に並んだところ、Vaが3人折り返してくれたことから、並びは1-2-1ですが、中列がぐっと客席側に出て、1-2-1と1-3の中間のような配置となりました。雛段は4プルト目のみ。一番客席寄りの席(2pult)がベートーヴェン降り番席となり、私は3プルトOut,中列の真ん中、という一番プレッシャーかからない場所でした。5弦相当は、中列両サイドの5弦(幻想のみ。ベートーベンは7人で、2pultOutの5弦が抜ける)と、首席のエクステンダー、そして私のエクステンダーという4本での対応となりました。  この団は年配の方が多いこともあり、コントラバスの譜面台を一人一本与えてくれます。これはかなり助かりました。眼鏡も従来(普段使っているもの)を使うことが出来、演奏に集中できました。どうしても場所を取ってパートが広がってしまう難点はありますが、ありがたいです。  メンバーは団員がトップの嫁と、トップサイドのUさん、そして2Pultでフルートと5弦バスの掛け持ちというYさんと最近加入されたNさん、そして4PultOutのHさんの5名。エキストラは、最近紫苑響さんや市民管さんでご一緒することも多い5弦のI橋さん、そして音大卒のI田さん、私の3名でした。なにせ1年掛けて練習したこともあって、音大卒以外のエキストラの方は早くから合流して(これは他のパートも同じ)一緒に弾いたこともあって、音楽的には上手くまとまっていたように思います。  私が団員だった時代はほとんどが音大生(もしくは卒業された)トラで、合流するのは前日当日のみ。もちろん腕は達者ですが、エキストラさんの数が多いと前日に音楽が激変(色んな意味で)するので、それまでの練習が虚しかったものです。アマチュアトラの方で上手な方は、きちんと大事な練習には来てくれることが多く、一緒に音楽出来るのでモチベーションがあがります。  指揮は、2代目の常任指揮者である川上先生。関フィルの元トランペット奏者の方です。私は川上先生の指揮での本番は初めてでしたが、客席からは何度か拝見していたこともあり、すぐに馴染むことが出来ました。技術的にも限界があるアマオケ相手に、できるだけ演奏効果を上げようと色々と工夫してくださっているのがよくわかり、ほぼ全練習に参加される、という熱心なご指導ぶりには頭が下がります。  ベートーヴェンの交響曲第8番は、昨年​紫苑響​さんと​八幡オケ​で演奏したこともありまだまだ記憶も残っていましたが、なんと今回の楽譜はブライトコプフの新版譜面。ハウシルト校訂のものです。色々話題となった他の番号の交響曲新版と異なり、8番は版の問題が少ない(ベートーヴェン自身が初版出版時校正したため)ため敢えて旧版譜面を使用し続ける楽団も多く、今回初めての新版演奏となりました。ただ、譜面としては旧版やベーレンライターとの違いを特に感じることもなく、ベートーヴェンの古典のフォルムにロック魂を詰め込んだ取り扱いの難しい難曲であることは変わりませんでした。  編成的には、コントラバスが1名減でした(1stフルートを吹いていた)が、幻想と同じ弦編成で近年では珍しい、ゴージャスサウンド。昔のカラヤン、ベルリンフィルみたいな人数です。カラヤンの場合はこういう時木管も増員したりしてバランスを取るのですが、今回木管はそのまま。やはりバランス的に弦が圧倒する場面があり、ちょっと気を遣う場面がありました。エクステンダーの拡張どころは結構有るのですが、今回は5弦もあるので3楽章のトリオ部分だけに絞りました。(ほんとは4楽章のCisとか弾きたい気もしたのですが)  演奏は小事故や、テンポが揺れそうになるところをVaのエキストラ陣がビシッと締めてくれて、落ち着いたテンポでフィニッシュに至ることが出来ました。  メイン曲の幻想交響曲は、過去全曲通しては7回目の演奏。他にアンコールとして4楽章のみを演奏したことがあります。全曲演奏したのは学生時代~静岡時代までで、何と15年ぶりあまりになります。実は八幡市民オケで3年前に演奏しているのですが、この時は上の娘の受験とかがあり休団していて、関西に戻ってきてからはここでの演奏が初めてになります。  楽譜はこれまでと同じ物ではありましたが、刷数は進んでいるようで、若干見やすくなっているような気はします。1,4楽章とも繰り返しはすべて実施。4楽章も例のコントラバスパート4分割でのPizz.も2回演奏です。 なにせ編成が大きく、特殊な楽器(鐘、コルネット)も必要なことから通常2管編成のびわこフィルにとっては、エキストラ集めから大変だったようです。私も少しお手伝いさせていただき、早くから(この時期は演奏会シーズンピークなので、早くに依頼しておかないと本当に誰も居なくなる)あちこちにお声がけさせていただきました。団員のかたの努力もあり、弦も管も近隣のトップアマと言われるような方が続々と参加してくださり、大変充実した編成とサウンドとなりました。  幻想と言えば、特殊効果の楽器群に触れないわけにはいけません。  2楽章のハープは、楽譜どおりきっちり2台のエキストラさんによる華麗な演奏。 同じく2楽章のコルネット・オブリガートはなし。  3楽章のオーボエバンダは、下手舞台袖、やや離れた位置から。楽譜どおり曲中でステージ上に復帰。同楽章のティンパニ4重奏は打楽器奏者がシフトして最上段で演奏。  4,5楽章で目立つファゴットは、冒頭から通常楽器(バソンではない)4本での演奏。プロのエキストラ2名が加わってくださり、安定のパートソロでした。  そして5楽章怒りの日前のコントラバスは、記譜よりオクターブ下げてコントラCを演奏(8本中、4本)。鐘はチューブラベルではなく、専用のいわゆる「幻想の鐘」。個人所有のものをお借りし、下手袖の舞台裏での演奏でした。 怒りの日のオフィクレドパートはチューバで代用。1stは通例のF管、2ndは珍しくB♭管だったように思います。  マエストロの色々な味付け(コントラバスにバルトークピチカート部分を作ったり)もあり、盛り上がりのある演奏となったように思います。  アンコールは、メインと同じベルリオーズによる「ラコッツィ行進曲」。繰り返しが多く、これもオーケストレーションが凝っていて(急速なpizz/arco持ち替えとか、パート間で独立したダイナミクスとか)、なかなかな難物。練習もアンコールとは思えないほど毎回時間を取っての練習だったので、エキストラの一部の方は、前プロ曲と勘違いしていたとかいないとか・・  個人的には1回生オケでやった懐かしの曲。幻想の後ではさすがにしんどかったですが、何とか終えることが出来ました。  それにしても、幻想もラコッツィも、ボウイングが小難しい(やってあまり意味があると思えなかったり、運弓上明らかに無理があると思われるようなものが散見)。まるで学生オケの「原理主義的」ボウイングのようでした。。ここは経験値ある(プロではない方がよい。プロは難しい運弓も出来てしまうので)メンバーで「大人の調整」をしてほしいものです。  打ち上げは栗東で行われたようです。1年の練習成果での打ち上げで、さぞ盛り上がったことと思います。私は嫁が出席になることから、先に楽器と一緒に帰って子供達とご飯、一人打ち上げで疲れを癒やすこととしました。  ​びわこフィル​は2年に3回(8ヶ月単位)という公演間隔が近年の通常(幻想は特別に1年でした)なので、次回の演奏会は来年6月となります。フィンガルの洞窟、ウェーバーの主題による交響的変容、ブラームスの交響曲2番という色々な意味で意欲的な取り組みが続きます。 何だか家に楽譜があったりする(笑)のですが、フィンガルは校訂の入った新版のようです。見たところ、「真夏の夜の夢」序曲のような新版のトラップは無さそうです。 過去の演奏経歴です。通算342ステージ目。 ■ベートーベン:交響曲第8番  ・(2000/06)    いさだホール室内管弦楽団/尾崎 晋也 ・(2011/02)    墨染交響楽団/滝本 秀信 Bärenreiter新版譜面 ・(2018/03)    紫苑交響楽団/ゲオルギ バブアゼ Breitkopf旧版譜面 ・(2018/10)    八幡市民オーケストラ/三河 正典 Breitkopf旧版譜面 ■ベルリオーズ:「幻想交響曲」 ・(1984/01)    京都大学交響楽団/田中 良和(大阪公演) ・(1984/01)    京都大学交響楽団/田中 良和(京都公演) ・(1987/03)    京都インターユニバーシティオーケストラ/斎藤 栄一    ・(1989/07)    習志野フィルハーモニー管弦楽団/田久保 裕一    ・(1991/11)    麻生フィルハーモニー管弦楽団/大野 和士 ・(2004/10)    沼津交響楽団/井崎 正浩 ・(2008/12)    滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也 (第4楽章のみ:アンコール)    ■ベルリオーズ:「ラコッツィ行進曲」 ・(2004/10)    沼津交響楽団/井崎 正浩 ・(2007/05)    八幡市民オーケストラ/三河 正典 ・(2008/12)    滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也    ​びわこフィルハーモニーオーケストラ​さんでの演奏履歴(通算9ステージ目)です。  2008/6  第6回演奏会    栗東芸術文化会館さきら大(ドヴォルザーク8番他)     2009/4  第7回演奏会    栗東芸術文化会館さきら大(「未完成」他)  2009/10 瀬田小学校訪問演奏会    瀬田小学校体育館  2010/4  第8回演奏会    栗東芸術文化会館さきら大(メンコン、ブラ4他)  2010/11 老蘇小学校オープンスクール演奏会 近江八幡市立老蘇小学校  2011/5  第9回演奏会    栗東芸術文化会館さきら大(シューマン「春」他)  2013/6  第12回演奏会 栗東芸術文化会館さきら大(「宗教改革」他)  2014/2  第13回演奏会 野洲文化ホール(ブラ1他)

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