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カテゴリ:映画
監督: ロバート・デ・ニーロ 脚本: エリック・ロス 製作総指揮: フランシス・フォード・コッポラ マット・デイモン asエドワード・ウィルソン 父の遺書を家族にも秘密にして生き抜いた男。 アンジェリーナ・ジョリー asクローバー 本名はマ-ガレット。上院議員の娘。 エドワ-ドが結婚以来久しぶりに彼女の本名を呼ぶダンスタイム。出会いの日と重なるが、彼も彼女もずいぶん変わっていた・・・・。 奔放な女性が性格の違う夫と長年連れ添うと、こうもやつれる、という実証例。 某国の皇太子妃殿下を一瞬思い浮かべる。 ロバート・デ・ニーロasビル・サリヴァン将軍 アメリカの情報活動の父を重厚な演技で。松坂牛のステ-キのよう。(食べたことないけど) エディ・レッドメイン asエドワード・ウィルソン・ジュニア うわ-。苦手なタイプ。 神経質というより腺病質な雰囲気は秘密主義の父を持つ癇の強い子、の役柄にぴったり。 タミー・ブランチャード asローラ 学生時代のエドワ-ドの恋人。耳に障害を持つが素敵な性格美人。 この人と結婚する、という選択もあったのに。 マイケル・ガンボン asフレデリックス教授 どこかで見た顔・・・・と思っていたらダンブルドア校長先生。 他にも綺羅星のごとく脇を固める俳優陣が。 イェール大学在学中(劇での女装がスカウトの要因ではあるまいが)エリ-トの秘密結社、スカル・アンド・ボーンズに入ったことから諜報機関OSS(CIAの前身)、CIAへの道が開けた主人公エドワ-ド。 幼き日、「嘘をつくと孤独になる。信用されず一人になれば安全ではなくなる。決して嘘をつくな」という教えを残して自殺した父の死因は最後まで明らかにされないが、父もまた自分と同じ組織に属していた人間だと後に知ることになる。 長い間開封しなかった遺書(強靭な精神力を物語るなあ)を、組織か家族か、最大の決断を迫られた時ついに手にする彼は、しかし冷静だった。 苦悩はあったはずなのに、いまひとつ感情移入できないほどの堅物男を演じきったマット・デイモンを褒めるべきだろう。 スカル・アンド・ボーンズ(Skull and Bones、S&B、頭骸骨と骨・・・・この由来も面白いのだけど)。 入会する時、誓約の代わりに過去の秘密を暴露させられ、秘密を共有することで結束を深めるという風習はジュニアの頃にはなかったようだ(父であるエドワ-ドの頃には冒頭紹介される馬鹿馬鹿しくも重厚な儀式があれやこれやとあって、時代の流れを感じさせる構成になっている)。 今現在はどうなんだろう。 ちなみにブッシュ大統領(の父も祖父)もこのメンバ-。若き日の告白が聞いてみたかった気もする。 タイトルの『グッド・シェパード』を、忠実なアメリカの番犬、くらいの意味に考えていた私。画像を載せるためにTHE GOOD SHEPHERDで検索していたらキリストと羊の群れを描いた絵がヒットした。 気になる。 調べてみたら新約聖書のキリストの言葉に行き当たった。 「わたしが良い羊飼いである。良い羊飼いは羊たちのために自分のいのちを捨てる」(ヨハネ福音書 10章11節 羊飼いと羊の群れ) ここでキリストのいう羊は迷える子羊たち=民で、復活に向けての言葉「わたしが自分の命を捨てるので、父はわたしを愛してくださる。(中略)この定めを、わたしはわたしの父から受けた。」(同17・18節)に繋がるのだが・・・・。 神に関する表現はもう1つ登場する。 予告編で耳にしてから、作品の中ではどんな場面で使われるのかずっと気になっていた言葉。 「CIAにはなぜtheがつかないのかって聞かれたよ・・・・(苦笑)・・・・神(God)にtheをつけるヤツはいないだろう?」。 (英語豆知識:絶対者である「神」には定冠詞theはつけない、と高校時代に習った記憶が。冠詞に関する質問は超難しいのでしないように!) 自分たちを臆面もなく神と称する人間たちが、本当に羊を救うだろうか? エリ-ト集団[白人+アングロサクソン+プロテスタント、に「カトリックも少し」~サリヴァン将軍の台詞。実は私もカトリックだ、と続く]から発足した彼らのプライドと国への忠誠心はヒトラ-並み。 対キュ-バ作戦で交渉を持ちかけたマフィアに「俺たちイタリア人には家族と教会がある。アイルランド人には故郷が、ユダヤ人には伝統がある。黒人には音楽が。で、君たちには何が?」と問われたエドワ-ドは即座に答える「アメリカ合衆国、この国だ。あなた方はビジターに過ぎない」。 羊には血統書が必要のようだ。 この作品、当初はデ・ニーロではなくコッポラ監督がメガホンを握る予定だったらしい。 デ・ニーロ監督に決まり、「フォレスト・ガンプ/一期一会」のエリック・ロスに脚本を書いてもらう事になってからもスポンサ-がつかず、ようやくGOサインがでたと思えば今度は主演俳優が決まらない・・・・。 候補に挙がっていたディカプリオに代わりマット・デイモンが起用された、というどんでん返しの連続。正直、華があるディカプリオのエドワ-ドも見たかった。 しかし今回の出来を見ればマットで正解だったのか、彼でなければできない主人公を創りあげた製作&俳優陣(もちろんマット本人も)を賞賛すべきか。 出来上がった作品は、とても難航したとは思えない仕上がりで167分を飽きさせない、丁寧な作り。匿名で送られた写真の詳細な分析から、作戦の失敗をもたらした人物を特定していくサスペンス調の作りもいい(引っ張りすぎた嫌いはあるが)。 正体が明らかになるその人物の耳に、恋人として近づいた諜報部員がベッドで囁く「私といれば安全よ」という台詞。 冒頭、テープで流された時は、唐突で不釣合いな言葉だと思っていたが、謎が解けてみればなるほど、と納得がいく。 いろんな意味で、皮肉。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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