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テーマ:詩&物語の或る風景(1047)
カテゴリ:貸室あり
山奥不動産で割れていたガラス。 事務所へ侵入するため割ったとばかり思っていたけれど、あたしたちの注意を惹きつけておくためだけにやったのだ。 犯人は、死体発見までの時間を稼ぐために、村本俊二を、人も通わない藪中荘で殺した。 その上、警察をあざむくため山奥不動産のガラスを割って、鍵を盗んだかのように見せかけた。 それならば、いま犯人は焦っている。 もし、犯人が総サマだったとしたら、家に引きこもって悲しみにひたっていられるワケはない。彼に、そういう演技はできない。 警察が総サマを引っ張った今、真犯人が何らかの行動に出るのは間違いない。 やったのは総サマじゃない。 もっと、彼のことを知らなければならない。そして、犯人が逃げるのを止めよう。 美雪は外に出るため、いつものブーツをはき、赤いショートコートを羽織った。 そして、山奥不動産へ向かった。 彼女と一緒に昨日の事件に遭遇した山奥は、この街ことはすみずみまで知り尽くしている。夜の歓楽街を毎晩のように泳ぎ回っていた、と噂の総サマのことを、なにか知っているはずだと思った。 宮蔵から、外へ出るなと言われたことは、すっかり忘れていた。 <つづく> ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 2, 2007 04:14:41 PM
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