ちょこっと立ち読み屋さん

2006/05/21(日)18:16

働くお父さんの昔話入門(小澤俊夫著)の感想

ビジネスに生きる本(218)

小澤俊夫さんは、保護者対象の講演会でお呼びしたことがあるのですが、とても好評でした。私自身も昔話について、知らなかった部分もあり、とても勉強になりました。 著者の小澤俊夫さんは、指揮者の小澤征爾さんのお兄さんで、歌手の小沢健二(オザケン、漢字が間違っていたらごめんなさい)のお父さんでもある方で、昔ばなし研究所を主宰するなど、昔ばなしを研究し、正しく伝えていきたい、という思いを持っている方なのです。 この本を読んで印象的だったのは、「残酷批判は見当違いだ」ということです。第4章では「昔話は残酷を語る」ということについて書かれているのですが、まず1つ言えるのが、「残酷の中身は語らない」ということ。そのことについて次のように書かれています。 本来、昔話は、残酷な出来事は語るけれども、必ず実体は抜いて語るというはっきりした形、語り方を持っています。そのうえで「昔話は残酷なのか」と聞かれたら、私はこう答えます。「昔話は人の命が持っているのと同じ程度の残酷さを持っている」と答えます。つまり、人の命は、美しいものを生んだり、愛を育んだりするすばらしい面を持っている。けれども、その半面では他の動植物を食べるという残酷さを持っているのです。これは変えようがありません。これはやめられません。それで、昔話は人の命が持っているのと同じ程度に残酷さを持っているというわけです。 最近、「三匹のこぶた」を読み聞かせていたのですが、確かに残酷だなと思う部分もあります。しかし小澤さんは、「昔から本当の『三匹のこぶた』の物語を聞いたからといって、子どもが残虐に育つわけがありません。むしろ逆で幼いときから残虐なことを知っているほうがいい」と語った上で、そういう経験が全くないで育つと、逆に空想力が育っていかないという危険性がある、というのです。 また「三匹のこぶた」について言えば、最後に狼が食べられてしまう、というところまで語ることで、「子どもが安心する」という要素もあるようです。子どもが安心して眠れるためにも、最後まで語ることが大切だということでした。 昔話、小さい頃読んだ話もたくさんあると思うのですが、どんな話だったのか忘れていることがけっこうあります。子どもたちにお話してあげるためにも、昔話を改めて読んでみようかなと思っている今日この頃です(●^o^●)

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る